「死刑は違憲、英断下す時」青酸死事件弁護人、最高裁で
阿部峻介
京都、大阪、兵庫で2012~13年、遺産目的で夫や交際男性ら3人に青酸化合物入りカプセルを飲ませて殺害したなどとして一、二審が死刑とした筧(かけひ)千佐子被告(74)の上告審で、最高裁第三小法廷(宮崎裕子裁判長)は8日、検察側・弁護側の意見を聞く弁論を開いた。
死刑制度「後の時代に残虐とされることもある」
上告した堀和幸弁護士らは、死刑が憲法36条の禁じる「残虐な刑罰」に当たらないとした1948年の最高裁大法廷判決には、「後(のち)の時代に残虐とされることもありうる」という4裁判官の意見が付いていたと指摘。凶悪犯罪が減っていることや世界の7割の国が制度を廃止・停止し、世論調査で国民の4割が将来の廃止を容認していることなどから、「残虐と判断される時代になった。漫然と合憲判決を続けることは許されない。憲法の番人として英断を下すときだ」と訴えた。
そのうえで、被告は認知症で裁判内容を理解する「訴訟能力」がないなどとして、無罪を主張した。
検察「憲法違反ない」
検察側は、憲法違反の指摘には理由がないとして上告を退けるよう求め、結審した。判決期日は追って指定される。
京都地裁の裁判員裁判や大阪高裁は、3人の連続死は自殺や事故などではなく被告の犯行と認めた上で、訴訟能力にも問題はないと判断していた。(阿部峻介)