第1回こども庁の創設議論より、困窮子育て世帯の支援考えて
言いたい!こども庁 ① キッズドア理事長・渡辺由美子さん
子どもにかかわる政策を集約する「こども庁」の創設に向けた議論が与党を中心に進んでいます。新たな官庁にはどんな期待ができるのか、肝心の政策の中身はどうか、そもそも新組織をつくるべきなのか。子どもたちに携わる仕事をしている6人に聞きました。第1回は、子どもの貧困対策に取り組むNPO法人「キッズドア」理事長の渡辺由美子さんです。渡辺さんは、新たな組織をつくるより前にこのコロナ禍でやるべきことがたくさんある、と言います。
――こども庁の議論をどう見ていますか。
この緊急時に議論することでしょうか。いま優先すべきは、困っている子どもや親への支援でしょう。私たちは従来の学習支援に加え、コロナ禍の緊急支援として、困窮する子育て世帯への食料支援や就労支援、情報提供などを始めています。たしかに子どもの政策が進むのはいい。ただ、「こども庁」という組織ができて、何が、どうよくなるのか、よく分からない。具体的に子どもの政策をどう進めるのかが重要ではないですか。今議論するのは、どちらかと言えば反対です。
――子どもたちや親にどんな影響が出ていますか。
コロナ禍が1年を超え、まともにご飯が食べられない世帯が増えています。私たちの調査では「お金が足りなくて、食料を買えないことがあった」という世帯が昨年12月に37%でしたが、今年4月には50%へと13ポイント増えています。子どもに食べさせるために親が食事を1日1食にしている家庭も多くなっています。
日本の「子どもの貧困率」は13.5%(2018年)で、18歳未満の子どもの7人に1人は貧困状態にある。先進国の中でも貧困率は高い部類だ。そこへ、コロナ禍が追い打ちをかけると懸念する声が支援現場から上がっている。NPO法人「キッズドア」が困窮する子育て家庭の約2千人を対象に、4月に行った調査では、休校などコロナの影響で「子どもの学力が悪くなった」は46.5%に上った。子どもたちの学びや将来にすら、影を落としかねない。
――コロナ禍の長期化でより深刻になっているんですね。
これまで貧困と縁がなかったけれど、コロナ後に収入が激減した人もいて、子どもの教育費に手を付けざるを得ないケースだってあります。前なら月に数万円の塾代を出せていたけど、どうしようとか。塾も3教科を1教科に減らそうとか。両親がそろっている「ふたり親」でも困窮してしまう家庭が出ています。
――「こども庁」をきっかけ…
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【視点】渡辺さんのご意見、おっしゃる通りだと思います。コロナ禍が様々な形で子どもに悪影響を及ぼしている今、組織をいじることよりも先に、政治家や政府が時間と労力をかけるべきことが山積みになっています。まずは、どんな支援が求められているのかを渡辺さんた