「便利」だった漫画村 赤松健さんが描く海賊版の駆逐策

有料会員記事

聞き手・吉沢英将、赤田康和
写真・図版
漫画家の赤松健さん=2021年6月3日午後、東京都内、吉沢英将撮影
[PR]

 国内最大の海賊版サイトと言われた「漫画村」の閉鎖後も、同種のサイトへのアクセス数は伸びています。法規制を強化しても、それをかいくぐるサイト側との「いたちごっこ」です。どうすれば海賊版を駆逐できるのか。人気漫画「ラブひな」「魔法先生ネギま!」などの作者で、電子書店「マンガ図書館Z」を企画・運営してきた赤松健さんに聞きました。漫画のこれから、どう考えますか?

 ――漫画村の運営者だったとされる星野路実被告に実刑判決が出ました。

 漫画村ほどの大きな規模の海賊版サイトを運営していたのに判決が執行猶予だと、後に続く人が出かねないですよね。そういう事態を防ぐことができたのは、漫画家としてはよかったと思います。

海賊版、新人漫画家を直撃

 ――漫画村の閉鎖後、海賊版への法的な規制は強化されたものの被害は減っていません。

 昨年10月からリンクを張って海賊版に誘導する「リーチサイト」への規制が始まり、今年1月からは著作権者の許可なく違法に公開された漫画のダウンロードも違法になりました。その結果、リーチサイトと、付随するファイル保存サービス「サイバーロッカー」を利用した海賊版の流通は減った。今使っている人はあまりいないと思います。

 ただ、パソコンに漫画のデータを残さず読める「リーディング型」の海賊版サイトによる被害は相当増えています。「鬼滅の刃」のような大ヒット作があることも背景の一つなんでしょう。漫画村が話題になって、「海賊版サイトの利用はいけない」という常識が浸透したはずなのに海賊版を使っている人がいるのは、正直困りますね。

 海賊版がなければ出版社はもっと稼ぐことができますので、そのぶんのお金で新人漫画家の育成ができたはずです。また新人漫画家は紙の単行本を出版社から出してもらえないことも多く、電子版だけというケースが結構あります。もし海賊版サイトで電子版を読んでしまうと、やはり正規の電子版まで買う気にはなりませんよね。私のようなベテランなら、昔からのファンが紙の単行本を買ってくれるのですが。だから海賊版の被害は、特に新人漫画家を直撃する。

写真・図版
赤松健さんの代表作「魔法先生ネギま!」

 ――特定サイトへの接続を強制的に遮断するサイトブロッキング(接続遮断)はありえるのでしょうか。

 「通信の秘密」への懸念もあるし、全面的に賛成はできないです。ある場所がブロックされれば他のアドレスへ移動するだけで、根絶はできないでしょう。「私たち漫画家を守るため」という理由で国民全体に影響が及ぶことを始めるのは、かなり心理的抵抗感があります。

 ――法規制には限界があると。どうすればいいのでしょう。

漫画村超え」のサブスク、実現は

 一番効果的なのは、漫画村を…

この記事は有料会員記事です。残り2153文字有料会員になると続きをお読みいただけます。