労災自殺「他大学より少ない人員原因」 職員遺族が提訴

布田一樹
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 福岡県の男性職員(当時55)が長時間労働でうつ病を患い自殺したのは、県が安全配慮義務を怠ったことが原因だとして、妻(59)と子ども3人が8日、勤務先だった県立大学(田川市)と県に対し総額約8800万円の損害賠償を求める訴訟を福岡地裁に起こした。

 訴状によると、男性は2014年4月に同大学の学務部に配属され、入試の運営や図書館の管理システムなどを担当。15年2月中旬までの1カ月間の時間外労働は104時間と、労災の認定基準で「過労死ライン」と呼ばれる月100時間を超えていた。この時期にうつ病を発症し、15年3月に学内で自殺した。

 原告側は、同大学は同規模の公立大学と比べて職員が3分の2程度しかおらず、必要な人員配置や業務分担によって労働環境を整える義務を怠っていた、と主張している。

 男性の妻は「職員が命を落としたことに対する責任の所在と、大学内でどのようなことがあったのかを明らかにできれば、わずかでも夫の苦しみを癒やすことができるのではないか、と願わずにはいられません」とコメントを出した。

 県と同大学は「訴状が届いていないのでコメントは差し控える」としている。

 男性の自殺をめぐっては、地方公務員災害補償基金福岡県支部が17年8月にいったん公務外の災害と判断したが、妻が不服を申し立て、同支部審査会が19年8月に「質的に過重な業務を行った」と裁決し、支部が判断を覆して公務災害と認めた。(布田一樹)