ネット金融大手SBIの子会社に業務停止命令 金融庁
西尾邦明
金融庁は8日、ネット金融大手SBIグループのSBIソーシャルレンディング(SL)に対し、金融商品取引法に基づく1カ月間の業務停止命令を出した。うその説明で投資家からお金を集めるなどしたためで、再発防止に向けて業務改善命令も出した。SBISLはすでに廃業を決めている。
SLはお金の借り手と貸し手をネット上で結びつける金融サービス。SBISLはテクノシステム(横浜市)の太陽光発電や不動産事業への投資を募り、2017~20年に約380億円を貸し出したが、ほかの事業の返済などに約130億円が充てられていた。
金融庁は、SBISLの経営陣に法令順守や投資家保護の意識が欠けていたとし、「営業優先の企業風土がある」と断じた。「資金を漫然と貸し付けていた」とも指摘し、1カ月以内に改善計画をつくるよう求めた。
SBIグループは投資家に元本分を返す手続きを進め、SL事業から撤退する方針だ。一方、テクノシステムをめぐっては別の金融機関からお金をだまし取った疑いで、東京地検特捜部が同社社長ら役員3人を5月に逮捕した。(西尾邦明)