震災遺構の壁、1万枚超の付箋 問われる「あなたなら」

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星乃勇介
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 宮城県気仙沼市震災遺構・伝承館の出口近く、壁一面に並ぶのは、来館者が感想をつづった付箋(ふせん)だ。被害を見据えた衝撃、平穏な日常への感謝――。開館から2年で積み重ねられ、1万枚を超えた。これらを調べてみると、新たな課題も見えてくる。

 「何げなく生きている日々がどれほど大切かわかった」「人は自然に勝てないと痛感した」。びっしり貼られたカラフルな付箋。小さな紙にはいまも、率直な思いが日々書き残されている。

 5月18日、研修に訪れた新採用の市職員もじっと見つめていた。元市危機管理監で館長の佐藤健一さん(67)がいう。「今後の備えに生かす貴重な声です」

 同館は、津波で全壊した県立気仙沼向洋高の校舎を活用した震災遺構だ。破壊された教室や校舎、折り重なった車など、「あの日」がそのまま残る。

 今年4月末までの入館者は累計約12万1千人で、付箋は約1万2600枚。10人に1人は書いたことになる。特に修学旅行や防災学習で訪れる小中高生はほぼ全員、ペンを取るという。

 2019年3月の開館直後から、付箋に感想を書いてもらう試みが始まった。元館長の佐藤克美さん(53)によると、「見た気持ちを吐き出したい」と訴える見学者がいたため、付箋を置いたのがきっかけだという。ホワイトボードに貼り出すと、促したわけでもないのに書く人が増え、みるみるうちに埋まっていった。

 「ただ貼るだけではもったい…

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