気候変動でストレステスト 英中央銀行が3シナリオで

ロンドン=和気真也
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 英中央銀行のイングランド銀行は8日、気候変動が銀行や保険会社に与える影響を測るストレステスト(健全性審査)を始めると発表した。自然災害の発生や、世界的に進む温暖化ガス排出削減策などに伴う事業環境の変化が、貸し出しや運用資産にどう作用するかを調べ、今後の金融規制の検討に生かす。主要中銀では先駆的な試みだ。

 英国内の大手銀行や保険会社など19の組織が対象となる。今後30年で、温暖化ガス実質排出ゼロをめざす世界の政策が早く進んだ場合、遅れた場合、何も変わらなかった場合の三つのシナリオを想定。対象者は、それぞれに生じうるリスクへの対応力を示す。

 例えば、英政府は二酸化炭素(CO2)削減に向け、ガソリン車の新車販売を2030年に禁止するなどの政策を打ち出し、米中などでも環境規制は進む。投融資先の企業がこうした環境を起点とした変化に、新技術開発などで対応できているか。その点を金融機関がつかむことで投融資の健全性を保つ必要がある、と中銀は考えている。

 審査結果は来年5月に公表予定だが、同中銀は個別の銀行や保険会社ごとの結果は出さず、金融システム全体の対応力を把握することを目的とする。ベイリー総裁は声明で「業界全体の気候変動に対する金融リスクのより強固な対策につながるだろう」と述べた。

 気候変動による金融機関へのストレステストは、欧州中央銀行(ECB)も来年の実施を検討。日本の金融庁も、金融機関の気候変動対策を後押しする新指針の策定に動いている。(ロンドン=和気真也)