第2回子育て支援に取り組む自治体への「嫌がらせ」国はやめて

有料会員記事

聞き手・中塚久美子
写真・図版
言いたい!こども庁
[PR]

言いたい!こども庁 ② 兵庫県明石市長・泉房穂さん

 子どもや子育ての支援施策を次々と打ち出す兵庫県明石市の泉房穂市長は、こども庁の創設を機に、子育て支援に熱心に取り組む自治体への国の「嫌がらせ」をやめてほしい、と言います。

 ――こども庁構想に賛成ですか。

 遅まきながら「子ども」自体が政治の重要課題として議論されうるという点で、答えは「イエス」です。

 日本は子どもに冷たい社会です。諸外国と比べ、子どもにかける公的予算が少なすぎる。背景には、子どもは親の持ち物、親が責任を持ち法律は家庭に入るべからずで、政治的問題ではないと整理されていたから。かつて日本は第1次産業中心の村社会だった。子どもは大家族や村で支えていた。時代とともに産業構造が変わり、核家族が中心になったのに、発想が全然変わっていない。私は約40年前、大学進学で東京に出て、教育哲学を学び、そのころから「子どもを応援しない社会に未来はない」とリポートを書き、言い続けてきた。その立場からすると、「やっと」ですよ。

 子どもにかかわる政策を集約する「こども庁」の創設に向けた議論が与党を中心に進んでいます。新たな官庁にはどんな期待ができるのか、肝心の政策の中身はどうか、そもそも新組織をつくるべきなのか。子どもたちに携わる仕事をしている6人に聞きました。

 ――中央省庁にはすでに子ども施策の所管部署があります。

 ほんまの意味では、ないですわ。2003年に子どものことをやりたくて国会議員になったけど、内閣府は計画を立てる、厚生労働省は親に給付や就労支援、文部科学省は学校や先生を見ている。紙切れや親や先生ではなく、子どもの顔を見て声を聞く部署が霞が関にないと知ってがくぜんとした。今の明石でやっている養育費立て替え制度などを議員立法でつくろうとしたけど、マスコミもほとんど取りあげませんでした。

 弁護士活動では、離婚やサラ金被害などで子どもにしわ寄せがいっていることを知った。子どもの食卓のおかずが減っているのをリアリティーをもって感じた。ところが、子どもの意見を聞く仕組みがない。今ようやく、貧困や虐待の問題にも責任を持つ省庁が必要だと語られ始めたんです。

 ――こども庁創設のポイントは?

 大きくわけて二つある。まず、組織再編しなくても、やればすぐできることに着手すべきです。子どもや子育て支援を頑張る自治体に対する、国の「お仕置き」や「嫌がらせ」をやめてほしい。

 例えば、明石は子どもの医療費助成で、窓口負担のない無料化を7月、従来の中学生までから高校生へと拡大する予定です。でも、それが理由で約1800万円(19年度実績ベース)の国民健康保険の国庫負担金を減らされる。範囲を広げると医療費増につながるというのが国の言い分ですが、本来、子どもの医療費負担軽減は国がやるべきことだと全国市長会も訴え続けている。国がやらないから、自治体が市民のニーズを受けてやっているんですよ。なのに、無料化すればするほどお仕置き(減額)が増える。

 ――3月に首相が表明した低…

この記事は有料会員記事です。残り1571文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【10/25まで】スタンダードコース(月額1,980円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら