なでしこ戦、17年ぶりの広島 攻めに転じる「御三家」

辻健治
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 サッカー女子の日本代表(なでしこジャパン)が10日、広島でウクライナ代表と国際親善試合を行う。広島は戦前からサッカーが盛んなことで知られたが、フル代表の試合開催となると実に17年ぶり。地元関係者は、この機会を地域サッカーの盛り上げに役立てようと躍起だ。

 かつては埼玉や静岡とともに「御三家」と称された。だが、国際基準の専用スタジアムが無いことが弱みだった。10日の試合会場、エディオンスタジアム広島は、2002年に男子のワールドカップが日韓で共催された際も、開催地に選ばれなかった。中四国地方で最大級の収容3万5千人を誇るものの、サッカー専用ではなく、バックススタンドに屋根もないことなどが理由だった。

 広島でのA代表戦が行われたのは、男子は04年7月のスロバキア戦が最後。なでしこジャパンの試合も、2004年アテネ五輪のアジア地区予選以来行われていなかった。日本協会理事で、広島県協会の宗政潤一郎・副会長兼専務理事は「集客面で5万人が入るスタジアムが選ばれるのは仕方がない。大規模な施設がない地方で代表戦を開催するのはハードルが高い」と打ち明ける。

 ところが、近年になって風が吹き始めた。「数年前から繰り返し手を挙げていたが、アピールする力を欠いていた。ようやく材料がそろってきた」と宗政副会長。広島市中心部の原爆ドーム近くに専用スタジアムの建設が決まった。24年の開業予定で収容人数は3万人規模。今回のなでしこ戦開催は、3年後の新スタジアム完成を見据えた地元活性策の一環として実施する。

 J1サンフレッチェ広島の女子チーム「レジーナ」が、9月に開幕するプロの「WEリーグ」に参入することから、女子競技の普及や発展にもつなげたい考えだ。県協会は地元企業と連携し、サッカーをテーマにした番組制作にも乗り出した。ケーブルテレビでの放送やユーチューブで配信を行い、幅広い年齢層を対象にしたPRをしていくという。

 宗政・副会長は「(新スタジアムは)平和都市・広島から世界に向けてサッカーを通じて平和の大切さを発信する『聖地』にしたい。コロナ下で難しい状況ではあるが、なでしこジャパンの試合をきっかけに地域サッカーの発展につなげたい」としている。(辻健治)