近畿大医学部元教授を逮捕 経費1780万円詐取の疑い

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 大学の経費を不正受給したとして、大阪府警は9日、近畿大医学部法医学教室の主任教授だった巽(たつみ)信二容疑者(66)=懲戒解雇、大阪市天王寺区=と、無職藤戸(ふじと)栄司容疑者(52)=大阪府東大阪市=を詐欺と有印私文書偽造・同行使の容疑で逮捕し、発表した。

 捜査2課によると、2人は共謀して脱脂綿などの医療用品を立て替え購入したように見せかけた虚偽の領収書や請求書を2019年4月~20年12月に近大に提出し、19年5月~21年2月に18回にわたって大学側から計約1780万円を振り込ませ、だまし取った疑いがもたれている。

 府警は2人の認否は明らかにしていない。代理人弁護士によると巽容疑者は逮捕後、「そういうことはしていない」と容疑を否認したという。

 府警は9日、近大からの告訴を受理した。

 巽容疑者は約40年にわたって近大法医学教室に在籍し、藤戸容疑者は同教室に長年医療用品を納入していた医療機器販売会社(大阪市中央区)に19年3月まで勤務していた。

 捜査関係者らによると、巽容疑者は今年3月で定年退職を予定していたが、後任への引き継ぎの中で業者との不明瞭な取引が判明したという。

 近大は3月末に内部調査の途中経過を発表した。19年4月~20年12月に35件分の領収書を偽造し、計約1780万円を詐取したほか、17年6月~今年1月には業務用携帯電話3回線を家族に使わせていたとし、巽容疑者を懲戒解雇した。

 大学側から相談を受けた府警は5月、大阪府大阪狭山市の医学部法医学教室や巽容疑者の自宅などを詐欺容疑で捜索し、パソコンや関係書類を押収して調べていた。

 巽容疑者は近大の調査などに一貫して不正受給を否定し、4月には懲戒処分の無効を求める訴えを大阪地裁に起こした。代理人弁護士によると、巽容疑者は「領収書が偽造されていることも知らなかった。金は藤戸(容疑者)に払っていた」と話したという。

 捜査関係者によると、藤戸容疑者は府警の捜査に巽容疑者と不正受給したことを認めているという。一方、藤戸容疑者の代理人弁護士は朝日新聞の取材に「(巽容疑者の)説明は真実ではない。(藤戸)容疑者は不正に関わったが、自らの意思ではない」と説明した。

 巽容疑者はおもに府警の求めで死因究明のための司法解剖を約4千件手がけた。今年2月には警察庁長官による民間人表彰では最高位の「警察協力章」も受けている。