米のメール、北朝鮮「受け取った」と返信 両国が接触?

ソウル=神谷毅
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 米バイデン政権が4月末に北朝鮮政策の見直しを発表した後、北朝鮮は目立った反応を見せていない。最近は両国の接触も報じられていないが、関係者によると、バイデン政権側が発表後に北朝鮮側の窓口に送った電子メールに「受け取った」と返信があったという。今月上旬には朝鮮労働党中央委員会総会も予定され、金正恩(キムジョンウン)総書記が対米姿勢に言及するか注目される。

 バイデン政権は4月30日に北朝鮮政策の見直しを終えたと公表した。「現実的アプローチ」と呼ばれる新政策は、北朝鮮に対価を与えながら、段階的に非核化への交渉再開を目指す。4月上旬には、米国で日米韓の国家安全保障会議(NSC)の責任者が集まり、新政策を話しあった。

 米韓協議の事情を知る外交関係者によると、バイデン政権は発表前から接触を試みていた。発表後には北朝鮮側にメールを送り、これに返信があったという。ロイター通信は3月中旬、バイデン政権高官の情報として、政権が2月中旬からニューヨークの国連代表部を含むいくつかのルートで北朝鮮側に接触しようとしたが、反応はないと報じていた。

 米朝の非核化交渉は、2019年2月にトランプ前大統領と金正恩氏のハノイでの首脳会談が決裂。同年10月にはストックホルムで実務協議も開かれたが、その後の進展はない状態が続いている。

 メールの内容は明らかではないが、この関係者によると、18年のシンガポールでの米朝首脳会談での合意などをバイデン政権が踏襲する姿勢を示したものだった可能性がある。

 北朝鮮はこれまで、「現実的アプローチ」への直接的な反応を示していない。北朝鮮朝鮮中央通信が5月31日、「国際問題評論家 キム・ミョンチョル」名で報じた記事で「権謀術数に過ぎない」と批判したにとどまる。韓国に住む北朝鮮の元高官は「内容が本当に気に入らなければ、正恩氏の実妹、金与正(キムヨジョン)朝鮮労働党副部長が批判に乗り出すはずだ」とみる。(ソウル=神谷毅)