「大川小伝える」新任校長が研修 宮城
福岡龍一郎
東日本大震災の津波で児童と教職員計84人が犠牲・行方不明になった旧大川小学校(宮城県石巻市)で9日、新任校長が遺族の話を聞く研修があった。遺族は「大川小のことを、児童たちに伝えてほしい」と語りかけた。
県教育委員会などの主催で、昨年11月に続く2回目。92人の新任の校長が参加した。
6年生だった次女みずほさんを亡くした佐藤敏郎さん(57)は、震災前の運動会や津波で止まった時計の写真を手に「今はなにもないところだけど、街があって、子どもたちが走り回っていた。思い浮かべてほしい」と語りかけた。佐藤さんは、震災時の様子を詳しく説明した上で「亡くなった命を無駄にしてはいけない。向き合うことが伝承になる」と話した。
6年生の長女を失った平塚真一郎さん(54)は、子どもたちの命は救えた命だったと訴えた。参加した、大崎市立高倉小学校の佐藤有紀校長(56)は「一つ一つの言葉が身にしみる思いでした」。
研修後、佐藤さんは報道陣の取材に「大川小のことは触れにくいことかもしれない。でも、大事なこと。(研修が)知る最初の一歩になってほしい」と語った。
県教委は今後、継続して研修を実施していく予定という。(福岡龍一郎)
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