「私宅監置」沖縄の実態 12日から名古屋で上映 愛知

鈴木裕
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 精神に障害がある人を法律に基づいて自宅敷地の小屋などに閉じ込めた「私宅監置」。明治時代に日本で制度化され、米軍統治下の沖縄に1970年代まで残っていた。その実態を探った映画「夜明け前のうた 消された沖縄の障害者」が、12日から名古屋シネマテークで上映される。

 名古屋出身で、沖縄在住のフリーテレビディレクターの原義和監督(51)が制作したドキュメンタリー映画。64年に精神科医が沖縄で撮影した私宅監置用の小屋や閉じ込められていた人たちの写真を手がかりに、沖縄に現存するコンクリート製の小屋の跡や当時を知る人たちを訪ね、証言を積み重ねていく。精神に障害がある人だけではなく、知的障害者や耳が不自由な人も私宅監置されていた事実も掘り起こした。

 私宅監置は、1900年に施行された精神病者監護法に基づき、全国で実施された。家族が行政の許可を受けて精神障害者を家に監禁する制度で、江戸時代精神障害者を閉じ込めた「座敷牢」につながる考え方という指摘もある。終戦後の50年に廃止されたが、米軍の占領が続いた沖縄では72年の日本復帰まで残った。

 映画は、60年代に沖縄で精神障害の発症が、子どものころに沖縄戦を経験した世代で多発した資料も紹介する。原監督は「誰かを排除することでマジョリティー(多数)の安寧を図るという構図は、沖縄差別と根本で共通している。私宅監置が、日本の憲法や米国の憲法による保護から除外されていた米軍統治下の沖縄に残ったのは、歴史の皮肉だ」と指摘する。

 5日には、名古屋での上映を前に愛知県日進市のNGO「アジア保健研修所」で特別上映会が開かれた。高校生ら10人ほどが、原監督や、私宅監置を研究テーマにする愛知県立大学の橋本明教授とともに映画を鑑賞した。

 原監督は「私宅監置は、日本中であったにもかかわらず、表には決して出てこない歴史だ。社会や家族から遺棄され、名前も顔も奪われて闇の中に押し込められた人たちを、映画を撮ることで世間に出し、歴史に刻みたいと考えた」と話していた。

 名古屋シネマテーク(名古屋市千種区今池1丁目)での上映は12~25日。初日は上映後、原監督の舞台あいさつがある。(鈴木裕)