産後の母親支援する「何でも屋」、高まる需要

川口敦子、本間ほのみ
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 【東京】コロナ下で孤独な子育てが続く母親たち。もともと核家族化が進む日本では、近所付き合いも希薄になり、出産直後から生後3~4カ月の母親のサポートが最も不足しているとされる。そんな中、家事から育児、子育て相談に雑談と、「産後支援の何でも屋」を目指す助っ人たちの存在が注目を集めている。需要の高まりとともに、利用料を助成する自治体も増えている。

 6月初めの平日の昼過ぎ、もうすぐ2カ月になる息子を育てる女性(33)の家を、丹波あかねさん(58)が訪れた。

 「買い物からお願いしてもいいですか」。女性の依頼に、丹波さんは冷蔵庫をのぞいて手早くメモをとり、一緒に近くのスーパーへ。買い物を終えて帰宅すると、丹波さんは台所に立った。約1時間でミートローフ、ハンバーグ、カツオのしょうが煮など、5品が手際よく出来上がった。

 女性は「夜泣きへの対応や寝かしつけの方法など、これでいいのか不安だった。丹波さんは赤ちゃんのことをよく知っていて『大丈夫。みんな同じよ』と声をかけてもらった。救われた気分です」と、ほっとした表情を見せた。

 丹波さんは産後の母親の支援を専門に行う一般社団法人「ドゥーラ協会」(東京都千代田区)に所属し、今年の緊急事態宣言下で約40人の支援に関わってきた。「ドゥーラ」の語源はギリシャ語で、「女性を助ける人」という意味という。同協会は2012年に発足。ベビーシッターは育児、ホームヘルパーは家事など、それぞれサービスの内容が決まっているが、ドゥーラは育児も家事も引き受ける。

 70時間の講義と実習で、妊産婦の体と心に関する知識や、傾聴の仕方、乳幼児の保育や家事支援などを学ぶ。課程を修了すると「産後ドゥーラ」と認定され、母親たちの支援の現場へ赴く。首都圏を中心に現在572人が認定されており、保育士、栄養士の資格を持っている人も少なくない。

 サービスは時間ごとの有料制。こうした子育て支援サービスに公費補助をする自治体も増えている。

 16年度からドゥーラの利用者への補助を始めている品川区は、これまでは生後6カ月未満の乳児の親を対象に、1時間につき2千円を補助。今年度からは補助額を2700円に増額、対象も生後1歳未満までに拡大した。港区は産前産後の家事育児事業サービスを生後120日以内であれば低額で利用できる。今年度から、期間内にドゥーラを利用できる上限時間を9時間から15時間に延ばした。世田谷区では、子育て支援目的のクーポン券を、ドゥーラの利用料の支払いに使える。日野市は2歳未満の多胎児のいる家庭を対象に、今年度から1時間につき上限2千円の助成を開始した。

 北区の飯田雪絵さん(41)は昨年12月、第2子を出産したときに週に2度、2時間の利用を始めた。2時間自宅の風呂に入ったり、長女と2人きりで遊ぶ時間に充てたり。「心身ともにケアしてもらえたおかげで、今元気な自分がいます」と言う。

 同協会の宗祥子代表理事は「コロナ下で家族だけで過ごす時間が多くなり、視野が狭まって夫婦で行き詰まる家庭は少なくない。誰かの手を借りられることをもっと知ってほしい」と話している。(川口敦子、本間ほのみ)