ビットコインが法定通貨へ エルサルバドルで世界初採用

サンパウロ=岡田玄
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 中米エルサルバドルの国会は8日、暗号資産(仮想通貨)のビットコインを同国の法定通貨とする法案を可決した。ビットコインを法定通貨として採用するのは世界初だという。推進してきたブケレ大統領は「歴史的だ」とツイートした。

 人口640万人ほどのエルサルバドルは最貧国の一つ。90年代まで10年以上続いた内戦の影響もあって産業がとぼしい上、大土地所有制が残っており格差が大きい。このため豊かな暮らしを求めて米国などへの移民も多く、移民先から本国の家族に向けた送金が国内総生産の2割を占める。一方、国民の7割が銀行口座を持っていないとされる。

 国会に法案を提出したブケレ氏は、ビットコインを法定通貨にすることで「公式の経済活動の外に置かれた人たちを取り込むことができる」と主張。すべての人が金融サービスを利用できるようにする「金融包摂」は、貧困の削減や所得格差の是正にも重要だとされ、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」でも掲げられている。

 また、ブケレ氏は、ビットコインを使えば、金融機関に送金手数料を支払わなくて済むため、貧困層の海外送金の受取額も増えると訴えていた。

 一方、野党は「一瞬で価値がなくなる恐れがあり、深刻な状況を引き起こしかねない」などと批判していた。

 国会の発表によると、84票のうち62票が法案に賛成だった。エルサルバドルは2001年から、経済の安定化などを目的に米ドルを法定通貨としている。90日後には、米ドルとビットコインが法定通貨となる見通しだ。

 中南米では、パナマ、エクアドルでも米ドルを法定通貨としている。米ドルは為替変動が少なく安定していることから、外国からの投資を受けやすくなるメリットがあるという。

 仮想通貨をめぐっては、南米ベネズエラでハイパーインフレによって法定通貨「ボリバル」の価値が暴落したことから、市民の間で米ドルのほか、ビットコインなどの仮想通貨の利用が急増。マドゥロ政権も注目し、国として仮想通貨「ペトロ」を発行したが、利用は広がっていない。(サンパウロ=岡田玄)