改札前に駅員の推しプラレール 阪神電鉄社員ら持ち寄り

岩本修弥
[PR]

 疾走する阪急の電車。その上を阪神、さらにその上を山陽が駆ける――。

 ここは神戸市兵庫区にある新開地駅。といっても実際の線路ではなく、改札前のスペースの話。ぐるぐると回っているのは鉄道模型「プラレール」だ。

 5月末にお目見えするなり、鉄道好きの子どもたちが大喜び。撮影した画像のSNS投稿も相次ぐ。「昭和のカラーの競演!」「大人も笑顔になりました」

 1年以上続くコロナ下の自粛生活。阪神電気鉄道の同駅助役の八尾昌広さん(58)は、ずっともやもやしていた。

 「今まで電車内では静かにしてください、と注意していたのに全く話し声が聞こえない。なんだかなあ」

 八尾さんは、同駅の「業務改善チーム」に所属。今年2月、月に1回開かれる報告会で、こう呼びかけた。「駅の利用客をなんとか元気にできないか」

 チームは元々、イベント開催や職場環境の改善などを図るのが仕事だ。改札前のスペースの一角を活用することになった。

 まずは、ひな祭り。「要らないひな人形はありませんか」。SNSで募集すると、続々と連絡がきた。

 「家に眠っていたのでぜひ」「処分するにもできず、困っていた」――。10人以上が声をかけてくれた。中にはこどもの日に合わせて五月人形を譲ってくれる人も。「駅で飾ってもらえるなら」と、みんな無料で提供してくれた。

 3月。ひな人形を設置すると瞬く間に利用客の間で話題になった。孫を連れて1体1体、人形の解説をする高齢者の姿も。

 少しずつ、駅に活気が戻っていった。

 そして5月の報告会。次のイベントをプラレールに決めた。鉄道会社だけあって、鉄道好きが多い。自前のプラレールを持ち寄って、高さ1・2メートル、奥行き1・8メートルの大型レールを完成させた。

 阪神、阪急、神戸電鉄、山陽の4社の車体を用意。阪神電車1000系など、実際に神戸高速線を走っている車体を中心に設置し、自動でレールを周回する。

 「多くの子供たちが笑顔になってくれたら」。そんなメッセージも添えた。八尾さんは「こんな状況ですが、ぜひ通勤・通学の途中で立ち寄って楽しんでもらえたら」と願う。

 設置は6月中旬までの予定。(岩本修弥)