緊張高まる島嶼防衛、元陸将が語る 奪還能力こそ抑止力

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聞き手 編集委員・駒野剛
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 東シナ海南シナ海の平和は保たれるのか。中国の空母などが展開するのに対し、米海軍が監視を強める。台湾海峡でも米中はにらみ合う。また中国は武器の使用を含む措置を可能とする海警法を施行し、尖閣諸島周辺の緊張が高まる。日本はどうすべきか。島嶼(とうしょ)部防衛に取り組んだ番匠幸一郎元陸将に聞く。

 1958年生まれ。防衛大卒、陸上自衛隊へ。陸上幕僚監部防衛部長、第3師団長、陸上幕僚副長などを経て、九州・沖縄の防衛警備を担当する西部方面総監。2015年退官。

 ――イラク復興支援部隊初代指揮官を務め、退官後は政府の国家安全保障局顧問として安全保障の最前線におられました。東アジア情勢をどう見ていますか。

 「日清戦争前夜に似た状況にあると考えています。強大な清帝国、東方進出をもくろむ帝政ロシア、不安定な朝鮮半島。その当時と重なるようで、現状は楽観できないと思います」

 「日本列島地政学的配置を見ると、大陸諸国が太平洋に進出しようとする際、列島は壁のような位置にあります。最北端の択捉島から、最西端の与那国島まで約3300キロメートル。スカンディナビア半島から北アフリカまでに相当する長大な壁です」

 「米バイデン政権は、3月に発表した『暫定国家安全保障戦略指針』の中で、安全を脅かす四つの国として、中国、ロシア、北朝鮮、イランを挙げていますが、日本はこのうち3カ国と接しています。とりわけ台頭著しい中国が海洋進出するにあたって、死活的に重要な位置にあるのが出口を塞ぐ日本列島です」

日本の安全保障上、中国が最大の脅威だと番匠さんは語ります。仮想敵とすることにマイナスはないのか。安保条約に基づく米国の助けは信じられるのか。記事後半で聞きました。

「この島を守るのは駐在警官の拳銃2丁だけ」だった

 ――中国だけが厄介ですか。

 「一昔前なら短期的には核・…

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