「2時間トイレ休憩なし」 パワハラ訴え村長を提訴

大木理恵子
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 熊本県水上村の中嶽弘継(なかたけひろつぐ)村長からパワーハラスメントを受けてうつ病を発症したなどとして、村の男性職員(53)が10日、村と中嶽村長を相手取り、慰謝料など計約530万円の損害賠償を求める訴訟を熊本地裁人吉支部に起こした。

 訴状によると、男性は2007年から村総務課に所属し、公用車の運転に従事。中嶽村長の初当選から1年余り経った16年6月ごろから、顕著なパワハラが始まった。

 男性が公用車を運転する際、対向車に村民が乗っていれば深く頭を下げてあいさつするよう強要。男性があいさつをしない時には「なんで気がつかないか」「責任をどうとるか」などと複数回叱った。

 2時間近くトイレ休憩を許されずに「膀胱(ぼうこう)がおかしいのか」などと言われたほか、長時間の飲み会にたびたび参加を強いられ嫌みを言われ続けたこともあった。男性が運転中にマスクを着用していることについて「お前がマスクしていることがわからん。地元でマスクしなくてもよいと思っている」などと言われた。「懲戒にする」「今度査問委員会をする」といった発言もあった、としている。

 男性は2回、村総務課長にパワハラを相談したが、課長は「村長は言っても聞かない人だから」「診断書が出されたら休んでくれとしか言えない」と取り合わなかったという。

 男性は昨年3月に適応障害、4月にうつ病と診断され、約1年間休職している。10日に熊本市内で記者会見し、「私のような被害者がこれ以上出ないよう、パワハラの事実を皆さんに知っていただきたく提訴を決断した」と声を詰まらせながら話した。

 中嶽村長のパワハラ疑惑は、地元民放が今月報じ、中嶽村長は「パワハラを行ったという認識はない。誤解を招く言動があれば、改めるにやぶさかではない」などと記した文書を地元報道機関に送っていた。

 村総務課は取材に、「訴状が届いていないのでコメントできない」と答えた。村と中嶽村長の代理人弁護士は「村長はパワハラはないと思っているが、訴状についてはきちんと対応すると言っている」とコメントした。(大木理恵子)