余った食品、お寺からフードドライブ 金沢市の弘願院

小島弘之
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 【石川】人との関わりが希薄になるコロナ禍は、貧困や悩みも見えにくくしている。人と人の心をつなごうと、金沢市の若い住職が、新たな取り組みを始めた。

 金沢市野町1丁目の浄土宗弘願(ぐがん)院。本尊の阿弥陀仏の前には、米やお菓子、マスクなどが並んでいた。

 お供えした後は、県内の児童養護施設子ども食堂、ひとり親世帯の支援団体に届ける「フードドライブ」を進めている。

 「誰もが大変なコロナ禍で、『誰かのために』と思ってもらうことがうれしい」。住職の森岡達圭(たっけい)さん(35)は話す。

 山口県下関市内にある寺の次男に生まれ、縁あって3年前に弘願院へ来た。ある出会いを経て、フードドライブを始めた。

 寺の地蔵によく手を合わせる母と女の子がいる。ある日、森岡さんは「いつもお参り、ありがとうございます」と声をかけ、娘にお菓子の詰め合わせを渡した。すると、母親が涙を流し、「今日はこれが食べられるね」と娘に声をかけたという。

 「自分が知らず、見えていないだけで、生活に困っている人がいる」。森岡さんは、無知を恥じた。

 フードドライブに取り組む関西のお寺があると知り、自分もお寺のホームページやSNSで呼びかけた。檀家(だんか)や近隣住民らから、少しずつ食料品が集まるようになった。

 1月には、LINEで相談に乗る「心のよりそい かけこみ寺」を開設した。きっかけは昨年、地元の山口県の同級生が自殺したことだった。何か悩みがあったのだろう、それを打ち明けられる選択肢に自分が入っていれば……。

 ツールは、若者が気軽に利用できるものにこだわった。相談件数はまだ少ないが、森岡さんはじっと連絡を待っている。

 根底にあるのは、「今あるすべてのいのちのつながりを大切に支え合う『共生(ともいき)』」という浄土宗の理念だという。森岡さんは、「コロナ禍で人との距離が離れ、心の距離まで離れてしまっている」といい、「食品や日用品を通して、人と人の『心のつながり』を数珠のようにつなげる役割を果たしたい」。

 募っているのは、未開封で賞味期限が1カ月半以上残った常温食品や日用品。午前9時~午後4時に受け付け、不在時用の箱も置いている。

 「心のよりそい かけこみ寺」は、毎週月・水・金曜の午後8時~同11時。LINEID「guganin1645」。問い合わせは弘願院(076・243・8024)へ。(小島弘之)