トビイロウンカにご注意  奈良県病害虫防除所

渡辺元史
[PR]

 イネの害虫として知られるトビイロウンカについて、奈良県病害虫防除所が農薬などを使った防除を呼びかけている。5月中旬ごろから断続的に飛来を確認。県内で被害が多発した昨年より飛来開始が約1カ月早く、大量発生が懸念されるという。

 県などによると、トビイロウンカは日本で越冬できず、梅雨の時期になると梅雨前線に向かって強く吹く下層ジェット気流に乗って中国などから飛来する。国内で繁殖し、第3世代の幼虫が発生する9月以降で収穫間近のイネに大きな被害をもたらすという。

 県によると、桜井市池之内の防除所内に設置された害虫の発生を調査する予察灯で、5月17~20日にかけてトビイロウンカを確認した。飛来時期は平年より早く、発生量も多いという。防除所は、5月26日付で県全域に発生予察注意報を発令。今月も病害虫発生予報で注意を呼びかけている。今年は平年よりも梅雨入りが早かったことが影響したとみられる。

 県内の田植えは中山間地域で5月、平野部では6月には始まる。防除所は平野部の農家に対し、トビイロウンカ対策に効果が高い農薬の使用を呼びかけている。一方、田植えが終わった農家に対してはほかの農薬で防除するよう求めている。7月以降の防除は発生状況をみながら周知する。

 昨年、県では1966年以来約50年ぶりにトビイロウンカの大量発生が確認された。9月中旬には、田原本、三宅、広陵の3町など中和地域の平野部で発生率が22%、10月には約52%に拡大した。この影響で、水田全体が枯れる反枯れの場所も確認されていた。

 農林水産省近畿農政局の農林水産統計によると、昨年の県内のコメ収穫量は坪枯れや被害拡大防止のための早刈りの影響で、10アールあたり482キロと前年に比べ33キロ減少した。昨年はおおむね天候に恵まれていたものの、作柄は不良だった。

 防除所の吉村昭信所長は「飛来はわずかでも爆発的に増える。数が少ない今の段階で対処することで被害を抑えることができる」と話した。

 トビイロウンカについての情報は、防除所のホームページ(http://www.jppn.ne.jp/nara/別ウインドウで開きます)で公開している。(渡辺元史)

 〈トビイロウンカ〉 体長3~5ミリほどで、江戸時代の享保の大飢饉(だいききん)を引き起こした原因の一つといわれている。イネの株元に寄生して茎から栄養分や水分を吸い取るため、イネが円形状にまとまって枯れる坪枯れが起きる。防除所によると、1匹のメスから約100匹が生まれるといい、世代を追うごとに爆発的に増える。