ロシア拿捕漁船解放、安堵の関係者 「ゆっくり休んで」

奈良山雅俊
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 ロシア警備当局に拿捕(だほ)された北海道稚内市の底引き網漁船第172栄宝丸が10日午後、解放された。乗組員14人の健康状態は安定しているという。5月28日に宗谷岬沖で操業中に連行されてから約2週間での解放に、関係者は安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 所属する稚内機船漁協から知らせを受けた工藤広・稚内市長は記者団に「一日も早く戻ってきてほしいという思いが実現した。本人だけでなく、ご家族も本当に苦労されたと思う。ゆっくり家族と休んでほしい」と語った。

 市は1972年以来、サハリン州のネべリスクなど3市と友好都市を締結し、交流を深めてきた。工藤市長は「旧ソ連時代とは漁業の環境も変わり、様々な市と信頼関係を醸成してきたが、そんな話では済まない現実があることがよくわかった。さらに互いの理解が深まるよう交流を深めていきたい」と話した。

 鈴木直道知事は報道陣に「乗組員の皆さんの健康に問題がないことは確認しており、今後状況をうかがっていきたい」と述べた。

 第172栄宝丸について、ロシア側は自国の排他的経済水域(EEZ)での違法操業を主張。一方、日本側は日本のEEZ内だったとしている。タス通信によると、サハリン州国境警備局は10日、罰金600万ルーブル(約900万円)の支払いを受け、同船を解放したと発表。稚内機船漁協は「不当連行に関わる経緯は政府間の交渉でもあり、コメントを差し控える」としている。(奈良山雅俊)