こだわった「3年で改正」 候補者均等法成立の舞台裏
「一歩一歩、前進だね」。政治分野での男女格差(ジェンダーギャップ)の解消をめざす改正候補者男女均等法が衆院本会議で成立した10日、国会周辺では、法改正を後押しした女性たちが喜び合う姿があった。
少しずつ改正して拘束力を
日本であまりにも女性議員が少ない状況を変えようと、候補者男女均等法ができたのは2018年。法律制定への機運は、赤松良子・元文相(91)が会長を務める「クオータ制を推進する会」の活動がきっかけだった。会の中心メンバーの平均年齢はすでに80歳を超えるが、思い入れのある法律の行方を見守ろうと、10人が国会に駆けつけたのだ。
候補者男女均等法は、男女の候補者数はできる限り「均等」をめざすと基本原則でうたう。政党には女性候補者の割合の数値目標を設定するよう求めているものの、努力義務にとどまり、拘束力が弱い。
「3年後に改正を」。推進する会のメンバーや、法律制定を主導した超党派の議員連盟(会長=立憲民主の中川正春衆院議員)の議員たちは3年前から、将来の改正を見据えていた。「どの国も、最初は弱い法律でも、少しずつ改正して拘束力を強め、女性議員の割合を改善している」(上智大の三浦まり教授)からだ。
最大の誤算
議連では2020年夏から国政の7党の議員が参加する作業部会を設置し、改正に向けた議論を重ねた。今年2月までには、政党に求める女性候補者の割合の数値目標設定を義務化する内容を盛り込む案をまとめた。
だが最大の誤算は、もっと早…
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- 【視点】
私たちはつい結果だけみて「骨抜き」とか「先送り」とか評価しがちですが、目標を見据え一歩一歩刻んでいくことの大切さを教えてくれるルポです。ただ、女性の候補者や議員へのハラスメントがひどすぎて、そこへの対策から入らざるを得ないというこの国の現状
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