実況でファンとスクラム 近鉄ライナーズはコンテンツ!

大坂尚子
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 文章や画像、音声を投稿し共有できるウェブサイト「note」でラグビーについて見どころや試合後の感想を発信している。多い時で月8本。書いているのは、チーム広報や記者ではない。大阪府東大阪市に拠点を置く近鉄ライナーズの田淵慎理(28)。現役のラガーマンだ。

 小学2年でラグビーを始めた。中学生のころ、テレビでトップリーグの試合を見てレベルの高さに魅了された。「やっても大学までってイメージだったけど、こんな風にやってみたい」。大学卒業後、近鉄に加入した。

 仕事と競技を両立する日々で、SNSは友人とつながる程度だった。高校、大学では主将、近鉄でもリーダーを任されたが「背中で引っ張るタイプで、しゃべろうと思ってもうまくいかん」性格。自ら発信するのは得意ではなかった。だがケガが転機となった。

 2019年秋に右足アキレス腱(けん)を断裂し、復帰まで1年近くをかかった。その間、チームはトップリーグ2部に相当するトップチャレンジリーグ(TCL)で全勝優勝した。「選手として試合で活躍するのが1番。でも試合に出られなくても、何かチームに貢献できないのか」と考えるようになった。

 たどり着いたのが、SNSを通じてファンに直接チームの魅力を届けることだった。昨年8月、ツイッターでつぶやいてみた。質問を募って回答していたが、次第に140文字にまとめるのが難しくなり、「note」でコラムを書き始めた。専門用語をなるべく避け、ラグビー初心者にもわかりやすい文章を心がけている。

 「近鉄ライナーズは強みを出して勝つチーム。負けるときは強みが何かの原因で出せないときです」「FWは前回から修正できた印象。勝利するための軸は、FWのがんばりだということが分かりました」

 チームのファン獲得を想定していたが、意識も変わってきた。「リハビリ中にコメントをもらって、自分のエネルギーにもなった」。試合会場でも声を掛けられることが増え、手応えをつかんだ。さらに今季のTCL優勝決定戦では、ファンクラブ用の試合配信で実況・解説を選手が務めることを提案し、実行した。

 オフシーズンとなった5月からは、「note」の会費制コミュニティー機能を使って「田淵の部屋」を開設し、ファンとの交流に一層力を入れる。「普段の生活でもコンテンツになるのがアスリートの強み。これからも色々挑戦していきたい」(大坂尚子)

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 たぶち・しんり 1992年生まれ、奈良県出身。小学2年でラグビーを始め、中学ではバスケットボール部と掛け持ちした。2015年に近鉄に加入し、社員選手として運輸部運行課で働く。様々なSNS(https://lit.link/shinritabuchi別ウインドウで開きます)で発信中。