滑走路脇の草→牛のエサ→乳製品 中部空港発の資源循環
今泉奏
中部空港(愛知県常滑市)は、滑走路脇の草地の刈り草を、地域の名産の知多牛のエサや寝床に無償で提供する取り組みを始める。寝床は、同じ知多半島の南知多町のキャベツ農家で肥料にも使われる。これまでは年間200トンの刈り草を廃棄していたが、再利用して環境負荷を減らし、地域で資源の循環につなげるねらいだ。
空港会社が11日、常滑市や半田市で牧場を営む「エル・ファーム・サカキバラ」と覚書を交わした。
滑走路脇には安全対策で草地が広がっている。エル・ファームは、肉牛の知多牛1200頭と乳牛300頭を飼育する県内最大級の牧場で、年間約5500トン使うエサの一部に刈り草を使う。牛乳を使ったアイスクリームなどもつくっており、榊原一智社長は会見で、「将来は刈り草を食べて育った牛の乳製品を空港に提供できたら」と話した。
空港会社は5月、2050年までに二酸化炭素排出量の実質ゼロをめざすとして「セントレア・ゼロカーボン2050宣言」を発表した。今回の覚書はその一環だ。犬塚力社長は会見で「環境にやさしい空港と地域社会の発展が両立できる取り組みになる」と語った。