外部委託で捕獲増、減らぬ農業被害に生息数増懸念 稚内

奈良山雅俊
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 北海道稚内市でアライグマによる農業被害が減らない。市は昨年度、過去最多となる348匹を捕獲したが、農業被害額は増加を続けている。生息数の増加に捕獲が追いついていないようだ。

 アライグマは2005年、農業被害や生態系を破壊する恐れがあるとして、環境省特定外来生物外来生物法)に指定した。稚内市は07年度から箱わなによる捕獲を始めた。10年度の捕獲数は9匹だったが、その後は増加傾向が続き、19年度は345匹、20年度は348匹と過去最多を更新している。

 捕獲数は増えても、20年度の農業被害は364万円と右肩上がりが続いている。被害は主に牛舎内での牛の配合飼料や飼料用デントコーンの食害だ。一方で、乳牛の乳首がかまれるなど家畜への直接的な被害も増えており、昨年度は乳牛35頭が被害に遭った。

 市は捕獲効率を上げるため、18年度から農家が箱わなで捕獲したアライグマの処理を、シルバー人材センターに委託した。それまでは市職員が現場に出向いて処理していたが、捕獲数が増え、職員の手ではまかないきれなくなった。

 市は農家から捕獲の連絡を受けると、同センターに知らせ、担当のスタッフが農家に駆けつけて処理する。処理費用は1匹につき7260円。農家は市に連絡するだけで済み、スタッフが現場で処理した後、すぐに再び箱わなを仕掛けられるので効率的だ。

 ただ、市内では捕獲数が増えても農業被害が減っていないことから、生息数そのものが増えている可能性が高い。街中での目撃情報も年々増えており、生息地は中心市街地へ迫っていると見られる。市の担当者は「遠隔地の農家は箱わなを仕掛けて連絡するだけなので負担はかからなくなったが、これからは市街地の対策も考えなくては」という。

 アライグマは北米原産で寒さに強く、出産は満1歳からで3~4匹を産む。雑食性で農作物や果実、家畜の飼料も食い荒らす。道は効率的に捕獲するため、出産・授乳期のメスに重点を置いた春捕獲(4~6月)に力を入れている。農作物が少ない時期だけに、箱わなの餌に誘引されやすいという。(奈良山雅俊)