聖火リレー、神奈川県内も公道走らず PVも中止

足立優心、秦忠弘 岩堀滋、大平要、村野英一
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 神奈川県内で28~30日に予定されていた、東京五輪聖火リレーの公道開催が中止されることになった。新型コロナの感染拡大への懸念が消えないためだ。屋外でパブリックビューイング(PV)などを行う「ライブサイト」も中止が決まった。関係者からは「残念だがやむを得ない」との声があがった。

 「県内の新規感染者数は今週に入り、前週を上回る日もあり、大変厳しい状態が続いている。公道走行とライブサイトの実施を中止することとし、昨日、組織委員会に伝えた」。黒岩祐治知事は11日の定例会見で、こう理由を説明した。

 県内の聖火リレーは28日に箱根町を出発し、3日間で約290人が15市町を走る予定だった。

 また、五輪期間中は片瀬東浜海水浴場(藤沢市)で、パラリンピック期間中は小田原城址公園(小田原市)で、それぞれPVやイベントを行うライブサイトを設ける準備を進めていたが中止を余儀なくされた。

 横浜市も歩調をあわせ、大さん橋ホールと市役所で予定していたライブサイトやPVを中止すると発表。藤沢市も、市役所本庁舎で予定していたライブサイトの中止を発表した。

 県は聖火リレーの公道走行に代えて、走る予定だったランナーによるセレモニーを県内3カ所で行う方向で、大会組織委員会と協議する。観客を入れるかどうかは今後調整する。8月12~15日に県内全市町村で予定されているパラリンピックの「採火式」については、今後の感染状況を見ながら判断するという。

 聖火リレーの公道走行やライブサイトが中止される中で五輪・パラリンピックが開催されることについて、黒岩知事は「開催自治体として、競技が安全安心にやれるように全力をあげたい」と話した。(足立優心、秦忠弘)

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 セーリング会場となる江の島を抱える藤沢市の鈴木恒夫市長は、1964年の東京五輪の時に聖火リレー伴走者として市内を走った。中学3年生で陸上部主将だった。「周りは人の山で、市に住む人が全部出てきたような感じだった。充実感があった」。公道でのリレー中止に「さみしい」と漏らす一方、「今の状況で五輪を開催するには人の集まりを減らしていかなくてはならない」と話した。

 川崎市は、30日に等々力陸上競技場で予定していた聖火リレーの出発式を中止する。最大1万3千人の観衆を集め、市内の第1走者には地元の小学校や特別支援学校の児童ら20人が伴走することになっていた。

 議会で「聖火リレーはオリンピックを身近に感じられる貴重な機会」だと強調していた福田紀彦市長。中止の発表を受けて、「感染症対策も含め実施に向けて準備を進めてきたので大変残念。この日を待ち望んでいた聖火ランナーや出発式を楽しみにしていた子どもたちのことを思うと胸が痛む」との談話を発表した。

 相模原市本村賢太郎市長は「聖火ランナーに選ばれた皆様の心情を考えると非常に残念ですが、コロナ禍においても安全・安心に開催する上ではやむを得ない選択」。橋本公園で実施予定の代替セレモニーについては、参加する市民に楽しんでもらえるよう引き続き内容を検討していくとしている。箱根町の勝俣浩行町長も「聖火リレーの県の出発式の舞台となることは、国際観光地箱根の魅力を発信できる絶好の機会としてとらえていた。大変残念」とコメントした。

 横浜市の林文子市長もコメントを出し、代替セレモニーにふれて「美しく輝く聖火の光をしっかりと繫(つな)いでいく」とした。岩堀滋、大平要、村野英一)

聖火リレーの代替セレモニー

【内容】

 走行予定日に走者がセレブレーション会場に集まり、走らずに順番に聖火をつなぐ「トーチキス」を行う。観客を入れるかどうかは未定。

【会場】

6月28日 辻堂神台公園(藤沢市)

  29日 橋本公園(相模原市)

  30日 横浜赤レンガ倉庫(横浜市)

※今後、大会組織委員会と協議予定