海兵隊訓練、撮影続け四半世紀、高見さんが写真展

中島健
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 陸上自衛隊日出生台演習場(大分県由布市など)での米海兵隊の実弾射撃訓練の写真展を、由布院空想の森美術館長で写真家の高見剛さん(70)が、JR由布院駅アートホール(由布市湯布院町)で開いている。昨年は地元の自粛要請に反した夜間射撃訓練が実施され、「多くの人に知って、考えて欲しい」と、四半世紀かけて撮りためた写真を紹介している。

 モノクロが多い約40枚の展示写真の中で、光が立ち上る一枚。昨年2月14日、地元と九州防衛局が結んだ確認書に反して、午後8時以降に行われた砲撃を写した。過去にも単発の夜間射撃はあったが、「終了時刻」を過ぎてからの大量の射撃に「なんだこれは」とシャッターを切った。

 日出生台での訓練は、沖縄の負担軽減を目的に、全国5カ所の演習場に分散して実施されている訓練の一環。日田市出身で、1986年から湯布院に移住していた高見さんは、一緒にまちづくりに取り組む仲間が反対運動を展開するようになった96年から、「撮らないわけにいかなくなった」と、ずっと追ってきた。

 写真展には、反対運動でデモ行進する当時の町長らの姿や、説得に訪れた政治家を捉えた写真も。訓練の公開で演習場に入り、銃器を持つ海兵隊員の姿も撮影した。演習場周辺に暮らす住民の生活を写した一コマもある。この間、住民は次々と集落から立ち退き、近所の人々が散り散りになっていったという。

 海兵隊の訓練は、県が夜間射撃について当時の防衛相に抗議した後は、前年度に続き、今年度も日出生台では実施されない。県は、政府に米軍の夜間射撃訓練の自粛を両国の合意とするよう求めたが、米側は受け入れなかった。地元では「次の訓練がひどくならなければいいが」と心配する声が高まっているという。

 「米軍の訓練はどんどんエスカレートしている。多くの人が関心を持ってどうあるべきか考えてもらわないと、変わらない」と高見さん。自身も、反対運動に触れ、初めて訓練の意味を考えるようになった。「射撃の音も聞こえない地域の人は、訓練なんて全く気にしていない。それが怖いと思う。いつの間にか、とんでもない方向にいくのではないかと危惧する」

 高見さんの写真展「風の記憶 湯布院―日出生台1996~2021」は30日まで。入場無料。(中島健)