ノルマは1日6駅、メモはスマホ うごめく時短営業調査

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 新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言下の5月中旬のある平日。スーツ姿のサラリーマンが行き交う都内の駅から100メートルほどの飲食店街の路上で、カジュアルシャツを着た50代の男性は足を止めた。

 時刻は周囲の店が軒並み閉店した午後8時すぎ。男性の目線の先には、8時をすぎても煌々(こうこう)と明かりをともし続ける1軒の居酒屋があった。

 「ビールお願い」「酎ハイお待たせ」。店内に客や店員の声が響く。都は飲食店に、酒類提供は終日控え、午後8時までの時短営業とするよう求めている。

 男性の正体は時短要請に応じていない店を確認して回る都庁の職員だ。店にできるだけ近づくが、店内には入らず、店内の混み具合や、客待ちがいるか、適切に換気されていそうかを遠巻きにチェックする。週2~3回繁華街を回るが、店側に「仕事中」と悟られたことはないという。「酔っ払いが店を物色しているように見えているのかもしれませんね」

 お店に入る客の気持ちはわからないでもない。「他の店が閉まっている中、『いらっしゃい』と言われればつい入りますよ。それが人情でしょう」。だからこそ、店の協力が重要だと思う。「ここさえ閉めてくれればみんな家に帰るのに。いまだけ頼む」。心の中でそう願いながら見回りにあたる。

客の総取り、「異常なこと」

 同じ仕事をしている別の40代の男性職員は「『告げ口』をしているみたいで気持ちのいいことではないです」と、コロナ禍で生じた見回り仕事への複雑な思いを語る。

 それでも、夜中に営業して繁…

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