業界最大手の動きに危機感 東京製鉄社長「技術で勝負」
日本の製造業で、最も二酸化炭素(CO2)排出量が多いのが鉄鋼業界だ。「2050年に温室効果ガス排出実質ゼロ」をめざす政府方針が打ち出され、業界では、排出量が比較的少ない電炉に注目が集まっている。電炉は鉄スクラップを電気を使って溶かし、リサイクルする製法。電炉大手、東京製鉄の西本利一社長に、先行きを聞いた。
鉄鋼最大手の日本製鉄は、30年に大型電炉の実用化をめざすと公表しました。これまで日鉄は、鉄鉱石を原料とする「高炉法」で生産していたので、電炉の当社と差別化できていました。しかし今後は同じ土俵で競争しないといけないので、危機感を感じています。
おそらく日鉄は、自らの製鉄所から出る、不純物の少ない高級な鉄スクラップを使い、自動車向けの薄板生産をめざしているのでしょう。
当社は原料に、高級な鉄スクラップをほとんど使いません。安いスクラップで、付加価値の高い建築向けの鋼材に注力していきたい。鉄は強度を上げるときに、銅やニッケルなどの添加物を加えます。しかし、安いスクラップには元からそういった金属が含まれています。不純物を取り除きつつ、添加する金属を節約する技術で勝負していきたい。配合比率を適正化すれば、品質の良い建材に生まれ変わるのです。
17年に50年のCO2削減…