抗議の声が消えた香港 異例の重い実刑次々、広がる萎縮

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香港=奥寺淳
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 中国への反体制的な動きを取り締まる香港国家安全維持法国安法)が施行されてからまもなく1年。この間、香港では2019年の逃亡犯条例改正案をめぐる反政府デモに参加した多くの民主派や活動家が逮捕・起訴され、いまも収監されている。

 周庭さんと同じ「香港衆志(デモシスト)」のメンバーで、民主活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏も、同じ未許可デモを組織するなどした罪で禁錮1年1カ月半の実刑判決を受けた。マスクをしてデモに参加したことが、政府がデモを封じ込めるために制定した覆面禁止法違反の罪に当たるなどとして禁錮4カ月の実刑を受けるなどして、現在も服役中だ。

 これまで罰金刑にとどまっていた罪でも異例の重い実刑判決が相次いでおり、厳しい取り締まりが続く。

 今年2月には立法会(議会)元議員ら47人が国安法違反で一斉に起訴。昨年9月に予定していた立法会選前に民主派が行った予備選で、政府予算案を否決して行政長官の辞任を迫ろうとしたのは、国家政権転覆の罪に当たるとされた。民主派の重鎮で香港紙「リンゴ日報」創業者の黎智英(ジミー・ライ)氏や民主党元主席の胡志偉氏ら多くの民主派に対して実刑判決が言い渡され、「香港民主の父」とも呼ばれた穏健派の李柱銘(マーティン・リー)氏にまで有罪判決が出た。

 例年6月4日に開かれてきた天安門事件の犠牲者を追悼する集会も、新型コロナウイルス感染防止を理由に警察が昨年に続いて開催を認めず、会場となってきた中心部の公園は封鎖された。警察はコロナ対策として4人以上の集会を認めない制限だけでなく、「あらゆる活動は(反体制的な言動を取り締まる)国安法の規定も考慮する」とも警告。従来の治安関連法規の厳格化に加えて国安法による規制がのしかかり、香港では公の場で中国共産党香港政府に対して抗議する声もほとんど消えた。異論を許さぬ雰囲気が強まり、社会に萎縮が広がっている。(香港=奥寺淳

「愛国者」でなければ立候補できない選挙制度に

香港国家安全維持法をめぐる主な動き

【2019年】…

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