広がる図書館の履歴保存 脅かされる秘密、懸念の声も

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赤田康和、西村奈緒美
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 図書館が利用者の「貸し出し履歴」を保存して利用者本人に提供するサービスが広がりつつある。ただ、履歴保存に懸念を示す人は少なくない。法政大学では大学図書館への導入をめぐって約3年にわたる対立が起きた。便利そうな履歴保存。図書館の世界ではなぜ問題視されるのか。

 全国の約7千館を対象とする図書館蔵書検索サイトを運営するIT企業カーリル(岐阜県)が調べたところ、過去3年以内にシステム更新をした340自治体のうち133自治体が貸し出し履歴の保存機能を導入。東京23区では少なくとも10区が履歴保存サービスを始めていた。

 2018年に導入した長野県松本市図書館は、規約に同意すると借りた本の記録が保存される。「昔借りた本の書名を忘れたので調べたい」といった声が背景にあったという。東京都墨田区立図書館は昨年1月に導入。書名や著者名などのほか5段階評価やコメントも記録できる。大阪府八尾市立図書館は今年4月に「My本棚」のサービスを導入。貸し出し履歴のほか読みたい本の書名などが保存できる。

 従来、図書館では返却後まもなく貸し出し履歴を消去するケースが多かった。どんな本を読んだかという履歴は、利用者の思想・信条を類推できるセンシティブな情報だからだ。

 図書館の憲法ともいわれる、日本図書館協会の「図書館の自由宣言」は「利用者の読書事実を外部に漏らさない」と明記する。全国の公共図書館は約3300。同協会・図書館の自由委員会の西河内靖泰委員長は「履歴保存サービスは増加傾向にある」としたうえで、「利用者の秘密を守るためには履歴は保存しないのが原則」と強調する。

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