1億7千万円相当の切手を換金 郵便局課長が貢いだ相手

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新屋絵理
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 約374万枚、1億7千万円相当の切手を金券ショップで換金した――。そんな罪に問われたのは、郵便局内で内部事情に詳しい課長の男だった。大量の切手をどうやって持ち出し、何に使ったのか。

 事件は2018年、東京国税局による税務調査をきっかけに発覚した。換金で得た現金を妻に「拾った」と説明していたという被告(49)は今年、警視庁に逮捕された。

 4月、東京地裁であった初公判。検察官が読み上げた業務上横領罪の起訴状などによると、被告は15~17年、東京都内の郵便局の職場から374万3610枚の切手を持ち出し、約20キロ離れた金券ショップなどで換金。売り払った切手の額面は1億7661万384円だったとされる。

 切手の持ち出しは夜間に週2回ほどのペースで、異動するまでの1年半で計164回にわたって換金を繰り返していたという。

 「やめようとしたことはありましたか」。起訴内容を認めた被告は、検察官からそう問われると「毎回、毎回、やめよう、やめようと思ってたんです」と答えた。「特別な感情で継続したのではなく、何も考えず続けていました」とも釈明し、こう話した。「価値がないゴミという感覚で持ち出しました」

 約374万枚の切手を勝手に持ち帰ったことに、なぜ誰も気付かなかったのか。換金した目的は何だったのか。検察側の冒頭陳述や証拠採用された捜査資料、被告人質問などから事件を振り返る。

 被告が東京都内の郵便局で会計担当の課長になったのは14年。切手の管理も業務の一つだった。

 郵便局には、「料金別納郵便」という制度がある。大量のはがきや封筒を送る場合、郵便料金の相当額を切手などを使ってまとめて窓口に支払うことで、1枚ずつ切手を貼らなくても済む仕組みだ。支払いに使われた切手は、郵便局側で「使用済み」を示す消印を押し、細断して廃棄するルールになっていた。

 ところが、被告がいた郵便局…

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きょうも傍聴席にいます。

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事件は世相を映します。傍聴席から「今」を見つめます。2017年9月~20年11月に配信された30本を収録した単行本「ひとりぼっちが怖かった」(幻冬舎)が刊行されました。[記事一覧へ]

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