菜の花越しに望む北方領土 北海道・標津町で満開

大野正美
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 根室海峡を隔てて北方領土国後島を望む北海道標津町の海岸や高台の草原で、菜の花が満開となっている。

 ちょうど210年前の1811年6月、国後島を測量にきた旧ロシア帝国の軍艦ディアナ号の艦長ゴロブニンは、島最南部の泊で江戸幕府の役人に拘束された。この事件の解決に、回船商人の高田屋嘉兵衛が尽力する姿を描いた司馬遼太郎長編小説の題名「菜の花の沖」を、思い浮かばせるような光景だ。

 嘉兵衛も翌1812年8月、この沖合を航海中にディアナ号の副艦長リコルドに捕らえられ、カムチャツカに連行された。しかし、2人はやがて互いを信頼して協力し合う。1年余りの努力の後、ゴロブニンの釈放を実現させた。

 標津町からは、周辺がゴロブニンや嘉兵衛拘束の地となった国後島のケラムイ岬が右手に細く延びているのが菜の花越しに見える。だが、かつて日ロ間の協力と相互理解の舞台となった島へは、コロナ禍でビザなし訪問が実施できない状態が続いている。(大野正美)