「鉄分補給」で砂漠が農地に、鉄に向き合う老舗の新肥料

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千葉卓朗
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 鉄の力で砂漠を農地に変える。そんな可能性を秘めた新たな肥料を、トヨタ自動車系の鉄鋼メーカー愛知製鋼徳島大学などと共同で開発した。長年の鉄への探究心が生み出したのは、植物に鉄分補給する独自の手法だ。

 愛知県東海市にある愛知製鋼の本社地区。その一角「あぐり試験室」では新肥料を使ってカボチャやイネを育て、効果を確かめていた。担当する同社次世代あぐり開発グループの鈴木基史グループ長(41)は「すでに効果は実証済み。商品化に向けた段階に入っている」と説明する。

植物が「貧血」になる土地

 世界の陸地の約30%は、農耕に適さないアルカリ性の土地だ。各地の砂漠や地中海沿岸部、米国中西部、オーストラリア大陸など世界各地に広がっている。こうしたアルカリ性土壌の問題は、植物の光合成に必須の栄養である鉄分が土に溶けないことだ。植物は鉄分を根から吸収できず「鉄不足」になる。これが「貧血」のような症状を引き起こし、やがては枯れてしまう。しかし、こんな土地で食物をつくれたら、世界の食糧難の解決につながる。SDGsには「飢餓をゼロに」の目標がある。

 鈴木さんら開発チームは「鉄…

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