ライチョウ復活作戦を支える山小屋支配人 中央アルプス

近藤幸夫
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 【長野】国の特別天然記念物・ライチョウが半世紀前に絶滅した中央アルプスで、環境省が取り組む「復活作戦」を裏方で支える山小屋の支配人がいる。千島浩聡(ひろあき)さん(47)は同省職員やボランティアの宿泊や食事の提供のほか、登山者からの目撃情報の収集やライチョウの天敵テンの捕獲などにも協力する。「ライチョウの復活で中央アルプスの魅力が増す」と期待する。

 千島さんは埼玉県秩父市出身。高校卒業後、調理師になろうと専門学校に進んだが、山好きの父の影響で23歳から北アルプス・穂高連峰の登山基地として知られる涸沢(からさわ)の山小屋で働くようになった。28歳からは中央アルプスで宝剣山荘などを運営する宮田観光開発に入社。5年前から宝剣山荘と木曽駒ケ岳直下の頂上山荘などの支配人に就いた。

 ライチョウは「涸沢では何度も見たことがある」というが、中央アルプスでは「昔は生息していた」と聞いたことがあるぐらいだった。ところが、2018年、山荘近くの木曽駒ケ岳でライチョウのメス1羽が確認され、「どこから飛んできたのだろう?」と驚いた。

 このメスの飛来をきっかけに始まった復活作戦では、ライチョウ研究者の中村浩志・信州大名誉教授や環境省の小林篤専門官らが、生息調査やケージ保護のベースキャンプとして二つの山小屋を利用するようになった。ライチョウの生態や保護の意義を知り、「中央アルプスは北アルプスなどに比べて知名度が低い。ライチョウ復活は大きなPRになる」と考えた。25年には60~100羽まで増やす目標に心が躍り、作業に積極的に協力している。

 山荘内にライチョウ復活作戦のポスター、目撃情報のカードなどを配置。天敵のテンを捕獲する金網製のわなも仕掛けて昨秋、1匹を捕獲した。昨年、乗鞍岳から3家族計19羽をヘリコプターで移送した際、ヘリ会社から依頼されて着陸の誘導を担当した。

 復活作戦開始後、ライチョウの写真撮影で訪れる登山者が増えた。ただ、登山道脇のロープをくぐり、高山植物の群落に入る人も多い。「マナーを守って、ライチョウを驚かさないよう静かに見守ってほしい」と呼びかけている。(近藤幸夫)