山梨県、富士急行に92億円請求へ 県有地の賃料めぐり

吉沢龍彦
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 山梨県富士急行に貸し付け、別荘地として運用されている山中湖畔の県有地約440ヘクタールをめぐり、同社が土地を借りる権利(賃借権)の確認を求めて訴訟を起こしたのに対し、県が反訴することを決めた。長崎幸太郎知事が14日明らかにした。貸し付け自体が「違法無効」だとして、まずは4年分に限って損害賠償を求める。請求額は92億2千万円あまりだという。

 この県有地をめぐっては南アルプス市の男性が2017年、賃料は安すぎるとして住民訴訟を提起した。県は昨年、適切だというそれまでの主張を百八十度転換。賃料は安すぎるので、地方自治法に照らせば契約自体が違法無効になると主張している。

 富士急行は今年3月、県を相手に賃借権の確認を求める訴訟を提起した。これに対抗して県が富士急行を訴えることで、甲府地裁には住民訴訟、賃借権確認の訴訟、県が富士急行に求める損害賠償請求訴訟の三つの裁判が並ぶことになる。

 県によると、請求するのは2001~03年と11~13年の4年分の損害賠償で、県が考える適正賃料と、実際に支払われた賃料の差額を請求する。4年分に限ったのは、損害賠償請求権の時効(20年)と、不当利得返還請求ができる権利の時効(10年)が到来するのを防ぎつつ、訴訟手数料を低く抑えるためだ。

 県が算定した20年間の損害の総額は363億円となる。富士急行の損害賠償責任が認められれば20年分を請求するとしている。

 県が「違法無効」と主張する契約は、もとはといえば県自体が富士急行と結んだものだ。県の責任について長崎知事は「富士急行になにがしか損害が発生した場合は富士急行側から不法行為として訴えるべきだ。われわれは現地点では(責任を)関知していない」と述べた。

 富士急行は朝日新聞の取材に、「当社は適正な手続きにのっとって賃貸借契約を結んでいる。なぜ県が損害賠償を請求しようとしているのか理解できない。請求額も恣意(しい)的に高く評価された鑑定評価に基づくもので、受け入れられない」とコメントした。(吉沢龍彦)