飲食店も都心離れ? 賃料、渋谷や新宿より上昇したのは

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 首都圏の1都3県で、飲食店向けのテナントの賃料が郊外ほど上昇していることがわかった。在宅勤務の浸透で自宅周辺で飲食する機会が増え、賃料や人件費などの固定費が高い都心から住宅街に近い郊外へと、移転を検討する飲食店が増えているためとみられる。

 飲食店の出店開業・運営支援サイト「飲食店.COM(ドットコム)」を運営する「シンクロ・フード」(東京)から、東京、千葉、神奈川、埼玉にある飲食店向けテナントの賃料(計約4300件、5月18日現在)を最寄り駅ごとにまとめたデータの提供を受けて、朝日新聞が分析した。登録物件数が10件未満の駅は除外した。

 その結果、新型コロナウイルスの感染が拡大する前の2019年と、21年の1坪あたりの平均賃料を比べると、最も上昇率が高かったのは埼玉県の草加駅で2・02倍。春日部駅(埼玉、1・95倍)、西小山駅東京都品川区、1・69倍)、鎌倉駅(神奈川、1・58倍)、本川越駅埼玉、1・52倍)と続いた。

 上位10駅には、繁華街が多い東京都心の5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)内にある駅が一つもなく、19年と比べて賃料が上がった66駅のうち、6割超にあたる42駅が都心の5区以外だった。

 19年と20年を比較しても、最も上昇率が高かったのは曳舟駅(東京都墨田区)で1・5倍、上尾駅(埼玉)が1・47倍、本川越駅(同)が1・44倍で、21年と同様に郊外や住宅街の賃料が上昇していた。

 特に鎌倉駅は、21年の1坪あたりの平均賃料が3万8400円(19年比1万4100円増)で、19年以降年々上昇。都心の恵比寿駅(3万6千円)や渋谷駅(3万2800円)、新宿三丁目駅(3万2700円)といった繁華街を上回る金額となっている。

 一方で、新型コロナ流行前の「平時」には、上昇率上位10駅のうち5駅が都心の5区内だった。18年と19年を比較して最も上昇率が高かったのは、韓流ブームでにぎわった新大久保駅東京都新宿区)だったが、21年の1坪あたりの平均賃料は19年と比べて3割減。上位10駅に入っていた三越前駅(同中央区)も4割減、東京駅(同千代田区)が2割減と軒並み減少した。

 在宅勤務の広がりは顕著だ。不動産仲介大手の三鬼商事(東京)が発表した、今年5月時点の都心5区のオフィス平均空室率は5・9%。15カ月連続で増え続け、平均賃料は昨年8月以降10カ月連続で下がっているという。

 シンクロ・フードの担当者は「時短要請などで売り上げが思わしくない中、家賃などの固定費が抑えられる郊外への移転を検討する飲食店が増えている」と指摘。「一般的に郊外型の店舗は集客が難しいと言われているが、コロナの影響で地元消費が増える傾向にあり、集客力のアップも期待できる」と説明している。

飲食店向け物件の賃料上昇率が高かった上位10駅

【2021年(19年比)】

①草加(埼玉) 2・02倍

②春日部(埼玉) 1・95倍

③西小山(東京都品川区) 1・69倍

④鎌倉(神奈川) 1・58倍

⑤本川越(埼玉) 1・52倍

⑥川口(埼玉) 1・49倍

⑦新所沢(埼玉) 1・46倍

⑧千葉(千葉) 1・43倍

⑨駒込(東京都豊島区) 1・42倍

⑩志木(埼玉) 1・37倍

【2019年(18年比)】

新大久保東京都新宿区) 1・80倍

②南浦和(埼玉) 1・66倍

③上大岡(神奈川) 1・53倍

④赤羽橋(東京都港区) 1・52倍

三越前(東京都中央区) 1・48倍

阿佐ケ谷東京都杉並区) 1・43倍

⑦蕨(埼玉) 1・42倍

清澄白河東京都江東区) 1・41倍

西新宿東京都新宿区) 1・41倍

⑩東京(東京都千代田区) 1・40倍牛尾梓

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