文化財「シェア」めざして 本中眞・奈文研新所長に聞く

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編集委員・中村俊介
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 古代日本の調査研究を牽引(けんいん)する奈良文化財研究所奈良市)の新所長にこの春、元文化庁主任文化財調査官の本中眞氏(66)が着任した。文化財の概念が拡大しつつある昨今、これからの奈文研をどう舵(かじ)取りしてゆくのか。抱負を聞いた。

 「遺跡の性質や条件、類型は多様です。それらをどうコントロールするか、解はいくつもある。社会とのかかわりのなかで調査研究のあり方を考えていきたい」

 千葉大園芸学部卒。奈文研から文化庁記念物課の名勝部門などで文化財調査官を務め、内閣官房内閣参事官として産業革命遺産などユネスコ国連教育科学文化機関)の世界遺産にも携わってきた。

 専門は造園学。一般にはいまひとつなじみのない分野だが、遺跡整備から景観保存まで知見は幅広い。古代王宮の庭園などはもちろん、自然と人間の営みがはぐくんだ文化的景観にも詳しい。ただ自ら「本流」ではない、と笑う。「確立されたコアの周り、隣接するふわっとした世界を渉猟してきた人間ですから」

 なるほど奈文研といえば、飛鳥・藤原や平城宮、あるいは有名寺院や著名な古墳など古代日本の中枢を扱うエキスパート集団といった印象が強いが、考古学や文献史学、建築史、保存科学など総合的な一大拠点として対象分野は幅広い。海外協力も活発だ。「引き出しをいくつ持っているかが、いろんな課題の解決につながる」。いわば「傍流」の強みをここ奈文研でも生かしたい、という。

 文化財の概念と種類は拡大し…

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