首相、政権批判がブーメラン 「閉じるのとんでもない」

菊地直己、北見英城
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 野党時代の菅義偉首相の言動が波紋を広げている。東日本大震災の対応をめぐり、国会の会期延長をしぶる当時の民主党政権を批判しながら、自身は今国会の会期延長に応じていないためだ。加藤勝信官房長官は15日午前の記者会見で、首相の過去の発言との整合性を問われたが、「ここは政府の立場を申し上げる場だ」と言及を避けた。

 自民党が野党だった2011年5月、菅氏は自身のブログに「被災地の状況を考えると、国会をこの状態で閉じるなどとんでもないことです」と書き、政権の対応を繰り返し批判した。菅氏らが中心となり、与野党の中堅、若手議員とともに当時の菅直人首相に会期延長の要請書を提出。当初、会期延長を渋っていた当時の菅(かん)首相は70日間の延長を決めた。

 一方、菅(すが)氏が首相として臨んだ今国会では、新型コロナウイルス対応のため、野党側が国会会期を3カ月間延長するよう政府・与党側に要請。しかし、首相はこれを拒否し、野党4党が不信任決議案を出すに至っている。加藤氏は15日の会見で、「国会会期はまさに国会が決める、与党は適切な判断で対応している」と述べるにとどめた。

 野党側は首相の言動に批判を強める。立憲民主党安住淳国対委員長は14日、「あのとき、野党の菅(すが)(義偉)議員は『国会を閉じるな』という運動の先頭に立っていた。『のし』をつけてそっくりお返しする」。共産党志位和夫委員長も「東日本(大震災)では大幅な延長をした。自分たちの過去の行動に照らしても、会期延長に応じないという理屈は立たない」と述べた。(菊地直己、北見英城)