VW新型ゴルフ発売 デジタル化と電動化が進んだ8代目

北林慎也
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 独フォルクスワーゲン(VW)日本法人のVWグループジャパンは15日、8代目となる新型「ゴルフ」を国内発売した。8年ぶりの全面改良で、デジタル化と電動化を大きく進展させた。

 ゴルフは1974年に初代が登場。それまでVWの主力だったビートルが採用していた空冷エンジンRRレイアウトから一転、現代的なFFハッチバックとなった。

 巨匠ジョルジェット・ジウジアーロのデザインによる清新なスタイリングと高い質感で世界的にヒット。以来、世界中のメーカーにとって小型ハッチバックのベンチマークとして君臨する。2012年発表(翌13年に国内投入)の7代目は、輸入車として初の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。

 新型となる8代目は、本国では2019年12月に発売。世界的なコロナ禍の影響で、2年遅れの国内投入となった。

 先代で全面刷新した新型プラットフォーム「MQB」を継承する一方で、パワートレーンは大きく変わった。国内投入される1リッター3気筒と1.5リッター4気筒の直噴ターボいずれにも、VW初となる48Vマイルドハイブリッドシステムが組み込まれている。また、先代の長いモデルライフの間にライバルに後れを取っていた運転支援システムも、全速度域での車線保持アシストが可能になるなど最新の水準にアップデートされた。

 15日の発表会でVWグループジャパンのティル・シェア社長は「最新のテクノロジーを搭載した、歴代で最良のゴルフ」とPRした。

 価格は消費税込み291万6千~375万5千円。VWグループジャパンによると、すでに2500台超の先行受注があるという。

【短評】スムーズで静かな1リッター3気筒

 15日に国内発売された新型ゴルフを、東京・竹芝の発表会場周辺で公道試乗した。

 試乗グレードは1リッター3気筒ターボの「eTSIアクティブ」。さしあたって国内導入されるグレードは、装備の豪華さに応じて1リッター2種と1.5リッター2種の計4グレード。いずれも「eTSI」を名乗る48Vマイルドハイブリッド仕様となる。

 高電圧のリチウムイオン電池で最小限のモーターアシストをまかなう。欧州の各メーカーにまたがる共通規格で、日本車で普及するストロングハイブリッドに比べて低コストなのが利点だ。

 VWが先鞭(せんべん)をつけた2ペダルのツインクラッチ「DSG」は7速まで多段化し、加速のダイレクト感はそのままに変速ショックも小さくなった。さらにモーターアシストの恩恵で、発進もスムーズ。1リッターの加速性能も、街中を走る中低速では十分だ。アクセルを踏み込まない限り、コンパクトな3気筒エンジンは極めて静かに回る。

 先代の7代目は車格を超えた高い質感の一方、初代以来の質実剛健ぶりが印象的だった。そういう意味で8代目は、先代とはアプローチがやや異なる。

 いかつい印象の細長いLEDヘッドライトや、全面デジタルのメーターパネルとセンターのインフォテイメントシステムから連なる鋭利なインパネ造形、センターコンソールに埋没するかのように存在感を極限まで打ち消したシフトレバーなど、未来的テイストをふんだんに取り入れた。

 プレーンでオーソドックスなゆえに、時に凡庸で退屈だと指摘されてきたVWのデザインだが、派手さを強調する日欧のライバルに触発されて、同じ路線に舵(かじ)を切った印象だ。ゴルフを代々乗り継いできたオーナーが、これをどう受け止めるかは興味深いが、先代までの保守的なイメージを一挙に払拭(ふっしょく)できたのは間違いない。

 本国ではすでに高性能モデル「GTI」も発表されている。いかつさを増した顔つきには大パワーと野太い排気音が似合う。素のゴルフは新型の国内投入が大きく遅れたが、こちらはぜひ、早期の発売を望みたい。(北林慎也)