否決される内閣不信任案に意味はある? 提出のわけは

有料記事

[PR]

 国会の会期末を16日に控え、野党4党は15日午前、菅義偉内閣への不信任決議案を提出した。与党は、同日午後の衆院本会議で反対多数で否決した。

 ――そもそも「内閣不信任決議案」とは何か。

 国会として内閣を「信任しない」という意思表示をする決議案で、衆院だけに認められている。議決されれば、憲法の規定により、内閣は10日以内に衆院を解散するか、総辞職しなければならない。

 たいてい国会の終盤に、野党側が出すことが多い。出さなければ、政権・与党を「信任」してしまうことになってしまう。国会における総括として、対決姿勢をアピールする「切り札」でもある。

 自民党石破茂・元幹事長は6月13日のテレビ番組で、2009年からの自民党野党時代の経験を踏まえ、「世間からどんなに批判されようが、不信任案を出せ、(政権を)解散に追い込め、と。そうでなければ野党の意味がないっていうことはたたき込まれた。野党は(不信任案を)出すのは当たり前だ」と語っている。

 ――与党の方が数が多いから否決されるのは野党も分かっているはず。なぜ、野党の「切り札」になると言えるのか。

 内閣不信任案は国会ではとても重たいものとして扱われていて、ひとたび提出されると、国会の審議はいったん止まる。衆院本会議を開き、不信任決議案を最優先で採決しなければならない。

 その際、野党の代表が不信任決議案を出した理由を討論することができる。この演説で、野党側の主張がどれだけ世論の共感を呼ぶことができるのか、各代表の腕の見せどころだ。2018年7月には、立憲民主党枝野幸男氏が3時間近く演説したこともある。

 ――自民党の二階俊博幹事長は、不信任決議案が出された場合は「ただちに解散」と発言していた。なぜ、衆院の解散につながるのか。

 二階氏は3月末の記者会見で、不信任決議案が解散の大義になるかと問われ、「自民党幹事長としては、そうした場合に直ちに解散で立ち向かうべきだという風に(首相に)進言をしたい」と発言した。

 これを受けて、立憲の安住淳国会対策委員長は、「4月中でも5月中でも出すことはありうる」と対抗した。二階氏はさらに「出してきたらすぐやる。出してきたら解散だ」と話し、不信任案と解散をめぐる応酬が続いた。秋までには必ず総選挙が行われることから、与野党の神経戦が繰り広げられた。

 ――不信任決議案が解散につながったことはあるのか。

 不信任案が呼び水となって、衆院解散につながったことや、与党の「政局」になった事例もある。

 1980年の大平正芳内閣…

この記事は有料記事です。残り486文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
今すぐ登録(1カ月間無料)ログインする

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません