民間AM局の大半、7年後までにFM化へ 対応端末必要

野城千穂
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 全国の民間AMラジオ47局のうち44局が、2028年秋までにFMラジオ局に転換をめざすことになった。15日、在京3社が代表して会見し、明らかにした。28年以降もAMを併用する局もある一方、一部の局はAMを停波してFMに一本化する方針だ。

 AMは遠くまで電波を飛ばせるが、遮蔽(しゃへい)物や他の電波が多い都市部での受信しにくさや、送信所に広い敷地が必要で河川敷などが多いため水害に弱いことなどの課題があった。各AM局は14年以降、AMの番組をFMで同時に放送する「FM補完放送(ワイドFM)」を実施しているが、AMとFMの二重費用や、FMに比べて高い設備更新費などが負担になっていた。

 ただ現在の制度ではAM局がAM放送をやめてFMだけのラジオ局になることはできない。日本民間放送連盟民放連)が19年、これを可能にする制度改正を求めたのを受け、総務省は22年にかけて制度を改め、23年にも停波の実証実験を始める方針だ。

 この日会見した在京3局(TBSラジオ、文化放送、ニッポン放送)によると、総務省の実証実験には、47局のうち21局が参加する意向を示しているという。

 在京3局は早ければ、放送免許の更新時期にあたる28年秋にAMを停波する。ほかのAM局も、AMを補完的に残しながらFMに転換したり、AM停波時期を検討したりしているという。ただし北海道と秋田の計3局は、放送エリアが広大であることなどを理由にAM放送を続ける。

 現在のAM局の放送をFM転換後も聴き続けるにはワイドFMの周波数(90・0~94・9メガヘルツ)を受信できる端末が必要。FMが聴けるラジオでも、90メガヘルツ未満の目盛りしかなければ、聴くことはできない。

 19年の国の調査によると、ワイドFM対応ラジオの普及率は53%にとどまる。さらに、FM波が届かない山間地域などへの対応も課題として残る。

 入江清彦・TBSラジオ会長は「あくまで事業者の経営判断だが、今のリスナーを軽んじる判断はあり得ない。各社、今のリスナー確保に努めながらやっていく」と述べた。

 一方NHKは、今年1月に公表した中期経営計画(21~23年度)で、現在のAM第1と第2を一本化し、25年度にFMと合わせて2波にする方針を示している。(野城千穂)