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乳がんサバイバー「検診行こう」 SNSでキャンペーン

土屋香乃子
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 【神奈川】コロナ禍で乳がん検診の受診者が減っていることを受け、横浜市の会社が受診を促すSNSキャンペーンを始めた。乳がん患者や経験者などに自身の体験を投稿してもらい、乳がんについて考えるきっかけを作るのがねらいだ。

 「乳がんを考える」を意味する「#THINK BREAST」を付けてのSNS投稿を呼びかけているのは、医療従事者に医療用アートメイクを教える会社「Biotouch(バイオタッチ) Japan」(中区)だ。

 医療用アートメイクは乳がんの切除で失われた乳頭や乳輪に色を付ける際にも用いられ、代表の土屋恵美さん(41)は「乳がんで悩み苦しむ人を減らしたい」と感じていた。3月に昨年のがん検診者数が前年より3割少なかったという日本対がん協会の発表を知り、検診を呼びかけようとキャンペーンを思いついた。

 6月上旬、SNSに投稿する写真を撮影するため、同社に設けられたスタジオに乳がんサバイバーの女性らが集まった。脚本家の塩野佐和子さん(57)はその一人。3年前に右胸を全摘し、インプラント(人工乳房)による乳房再建手術を行った。手術の痕が残る右胸を押さえながら、笑顔でポーズをとった。

 2017年、ステージ3の乳がんと診断された。塩野さんにとって全摘はつらい決断だったが、乳がんサバイバーの仲間や理解のある医師との出会いが治療の支えになった。「とにかく早く検診に行ってほしい。そう知らせるのがサバイバーのつとめかなと思います」と話した。

 都内で乳がんサバイバー向けのエステサロンを経営する村上弘子さん(59)も撮影に参加した。自身も7年ほど前に左胸を全摘し、翌年にインプラントによる再建手術をした。

 「美や健康のアドバイスをする立場である自分が、がんになるなんて」と自らを責めたこともあったが、乳がんサバイバーの存在に励まされた。撮影した写真をSNSに投稿し「一人でも多くの大切な胸をなくさないために」とキャンペーンへの参加を呼びかけた。

 代表の土屋さんは「投稿をきっかけに、一人でも多くの人に乳がんについて考えて欲しい。男性も、身近な人に検診を呼びかけて欲しい」と話す。

 キャンペーンは乳がんサバイバーでなくても参加できる。「#THINK BREAST」か「#シンクブレスト」のハッシュタグをつけて乳がんの体験や、乳がんについて思うことをSNSに投稿する。同社は一つの投稿につき100円を、乳がん予防の啓発を行う団体などに寄付する。キャンペーンは7月7日まで。(土屋香乃子)

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