自宅近くでワクチン接種 大阪・生野で巡回方式スタート

新型コロナウイルス

細見卓司
[PR]

 新型コロナウイルスのワクチン接種で、平日の夕方以降や週末に、住民の近所の会場で実施する取り組みが14日、大阪市生野区で始まった。行政主導の集団接種と異なり、地域のボランティアらが主体となって会場を運営。身近な距離感で住民らを細かくケアし、接種にあたった医師らからも感謝の声が寄せられた。

 「ワクチン受けにいくのプロジェクト」と称し、生野区の活性化を目指す一般社団法人いくのもりが取り組む。区内の病院に勤める医師の中村一仁さん(48)が住民らの要望を受け、発案した。

 中村さんに加え、医師6人と看護師4人がチームを組み、平日日中の通常診療以外の時間帯に、区内12カ所の会場を巡回する。この形ならば、ワクチンの打ち手も確保しやすい。

 この日は午後6時すぎから区内の「林寺センター」で接種がスタートした。対象は接種券を持ち、今年度中に65歳以上になる区民42人。入り口では地域のボランティアが受け付けを担当。「こんばんは」「お熱測らせてくださいね」と声をかけながら、手の消毒や検温、接種券の確認作業をしていた。

 受け付けが済むと、住民はすぐ先の椅子に順番に座って、接種まで待機。ここでも、接種がスムーズにいくよう、ボランティアらが一人一人の予診票を細かくチェックした。待機場所から接種場所へ進むと、いくのもりのメンバーらが住民に肩出しを呼びかけ、服がずれ落ちてこないよう洗濯ばさみでとめる姿も。窓は常時開放されており、換気にも気を配った。

 こうした準備が整ったところで、白衣に「赤い鼻」をつけた中村さんが登場。笑いやユーモアを医療に採り入れた実在の医師「パッチ・アダムス」(本名=ハンター・アダムス)に倣った。普段の診療でもサンタクロースの格好をするなどして、患者のケアに努めているという。この日も「少しは気持ち的に楽になってくれれば」との思いを込めた。

 中村さんが「今日は大丈夫ですか、体調は」などと声をかけながら問診し、その後をワクチンを打つ看護師が続く。住民は椅子に座ったままで、その横を中村さんらが巡回するため、住民の負担も減る。問診から接種まで1人あたり約1~2分。42人目を打ち終わったのは午後6時50分すぎだった。

 会場に一番乗りした女性(85)は回覧板で今回のプロジェクトを知った。「自宅近くで打てて良かった。注射を打つことはこれまでほとんどなくて少し緊張したけど、大丈夫でした」と話した。建築士の男性(66)は、仕事終わりに会場へやってきた。「仕事が終わってから打てる時間設定もありがたい。普段からこの会場は知っているから、緊張しなくて済んだ」と笑顔だった。

 問診にあたった医師の一人、津村えりかさん(39)は普段勤めている病院でワクチン接種と問診を自ら行っているが、予診票に漏れがあることが多いという。「そこで時間が余分に取られてしまう。でも、ここでは地域の人がしっかり事前の準備をしてくれて、スムーズ。ありがたかったです」と感謝していた。

 接種後、中村さんは「思った通りの形になってよかった。僕はツールで、地域の力あってこそです」と強調。いくのもり代表理事の木村和弘さん(53)は「今後もその地区ごとのカラーに合わせて柔軟に対応できればいいですね」と話した。住民は1回目の接種後、3週間後に同じ会場で2回目を受けることができる。問い合わせは、メール(ikunogurashi@gmail.comメールする)。(細見卓司)

新型コロナウイルス最新情報

新型コロナウイルス最新情報

最新ニュースや感染状況、地域別ニュース、予防方法などの生活情報はこちらから。[記事一覧へ]