第1回広がる疑心暗鬼、出せないSOS 施設襲ったクラスター

有料会員記事新型コロナウイルス

岡本進、上田雅文、丸山ひかり
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 新型コロナウイルスは、限られた空間で多くの人が暮らす施設にも入り込み、クラスター(感染者集団)を引き起こした。埼玉県内の障害者支援施設3カ所のそれぞれの苦闘をたどった。

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瀬戸際の戦い クラスターの現場から①

 さいたま市桜区の障害者支援施設「しびらき」の施設長、相浦卓也さん(41)は4月6日夜、20代の男性職員が新型コロナウイルスに感染したと連絡を受けると血の気が引けた。

 埼玉県内の感染者は増えていたので、いつ出てもおかしくないと覚悟はしていた。顔を覆うフェースシールドや防護ガウンを用意し、想定訓練もしていた。だが、50人の知的障害者が暮らす館内で感染が広がれば、重症リスクのある入所者は死につながりかねない。

 約60人いる職員は1年以上、不要不急の外出を避け、感染した職員も買い物を除けば職場と自宅を往復する毎日だった。感染経路はわからなかった。

 19年前に開所した施設は3階建てで2階に男性25人、3階に女性25人が暮らす。感染した職員は2階の担当だった。3日後の9日。入居者1人が発熱し、PCR検査で陽性となった。10日未明に市内の病院に救急搬送された。

 感染の広がりを防ぐため、訓練通り、感染者や感染が疑われる入居者が使う居室やトイレなどを「レッドゾーン(汚染エリア)」とし、天井からシートを張って廊下を仕切った。担当する松本勝(まさる)係長(37)以外は職員の出入りを禁じた。

 8~10日に通いの利用者を含め128人がPCR検査を受けた。もう1人、職員の感染がわかったものの入居者にほかに陽性者はいなかった。11日も状況に変化はなく、松本係長は「押さえ込めたかもしれない」と安心しかけた。

 だが、甘かった。翌12日。発熱はなかったが、入院した男性と同部屋者を再検査すると陽性とわかった。館内に設けた対策本部の仲田裕哉(ゆうや)課長(39)と松本係長が越谷市の病院に運んだ。次の13日。発熱と息苦しさを訴える入居者が出た。14日未明に市内の病院に救急車で搬送された。

拡大し続けるレッドゾーンに施設全体で不安感が広がります。記事後半では、感染対策をしていたにもかかわらず、職員にも感染が広がった様子や施設関係者の苦闘を伝えます。

じわりと広がる「レッドゾーン」

 この間、動き回りたい入居者…

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