第2回「ああ、この人も…」増え続けた感染者 なぜ?を教訓に

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 埼玉県内の障害者支援施設で起きた新型コロナウイルスクラスター(感染者集団)は、昨夏の「第2波」でもあった。

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瀬戸際の戦い クラスターの現場から②

連載「瀬戸際の戦い クラスターの現場から」(全2回)

新型コロナウイルスは、限られた空間で多くの人が暮らす施設にも入り込み、クラスター(感染者集団)を引き起こしました。埼玉県内の障害者支援施設3カ所への取材から、当時の現場の過酷さや職員の奮闘ぶりを伝える連載です。

 昨年7月25日昼過ぎ、県中東部に位置する白岡市の障害者支援施設「太陽の里」の施設長、園部泰由さん(47)のスマートフォンが突然鳴った。「入所者に新型コロナウイルスの陽性反応がありました」。休みで自宅にいたところ、入所者の急変を職員から知らされた。

 県内では1日あたりの感染者数がおよそ3カ月ぶりに最多を更新するなど、「第2波」への警戒感が強まっていたころだった。

 同日朝、車いすで生活する入所者の発熱が確認されたため、感染の有無を短時間で検査できる抗原検査をした結果、陽性だった。

 施設には生活支援が必要な20~70代の入所者が約60人いた。入浴や排泄(はいせつ)の際に職員が肩を抱えるといった接触を伴う介助は日常の出来事。集団感染は起こりうる事態だと備え、3、4カ月前からフェースシールドやガウンなどを買いそろえていた。それでも集団感染につながりかねない報告に、園部さんは「頭が真っ白になった」。

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感染防止に設けられたセミクリーンゾーン。手前と右奥の扉で仕切られ、ガウンなどの装着に使われる=2021年5月6日、埼玉県白岡市の太陽の里、上田雅文撮影

 入所者の感染が判明するまで、職員は介助の際にガウンを着けていなかった。「施設は病院ではなく、暮らしの場」との考えからだった。しかし、感染を広げないために、その考えを改めざるを得なかった。

 施設内に設けていた「セミクリーンゾーン」を初めて使うことにした。それは入所者の居住エリアとそれ以外を隔てる扉で区切った空間。職員がそこでガウンやフェースシールドを着たり消毒したりする。

 「ハード面」はできる限りの備えをした。地域の病院から医師を招いて感染予防研修を受けるなどし、感染拡大を防ぐための「動線」にも気を配っていた。

 それらを実践するときだった。

 ゾーンでガウンを脱ぐ際には表面を手で触らないように2人で脱ぎ合うなどの方法を考えていた。動線は、入所者の居住エリアに入った職員の動きを施設全体でどう抑えるかを考えた。

 ところが翌26日、県のコロナ対策チーム、通称COVMAT(コブマット)の医師や看護師らが施設入りすると、それらのやり方は一蹴された。

「第3波」で次々と陽性者が増えていく障害者支援施設。記事後半では不安を抱えながら入所者の命を守った職員らの奮闘や不安を振り返ります。さらには、クラスター事例から見えてきた、施設での感染防止対策の課題などについても伝えています。

 ガウンについては「表面に手…

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