思い出の品、元通りに直します ステンドグラス修理の技

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井上昇
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凄腕しごとにん

写真・図版
わずかな色みの違いが作品全体のバランスを損なうこともあるため、2千種類以上のガラスから最適なものを慎重に選び修理する=千葉市、伊藤菜々子撮影

虹工房 代表 斎藤雅也さん(46)

 「どこが壊れていたか全くわかりませんね」。割れた部分が修復され輝きを取り戻した色鮮やかなステンドグラスを前に、依頼主が感嘆の声を漏らす。このセリフを聞く時が、最も充実感を覚える瞬間だ。

 ステンドグラスの修理を1点から引き受ける「虹工房」を千葉市花見川区で営む。関東各地に出向くほか、北海道や九州など全国から依頼が舞い込む。

 「ステンドグラスの美しさは、日常に潤いを与え、心を豊かにしてくれる」。25歳でステンドグラス職人を志してから約20年。2009年に独立して以来、これまでに直した作品は400点以上にのぼる。修理を通じて、多くの人の心を豊かにしてきた。

 ステンドグラスの歴史は古く、現存する最古のものは9世紀の制作と推定される。聖書の教えを視覚で伝えることを目的に欧州で発展した工芸品で、日本でも主に教会などに大きな作品が飾られ、宗教との結びつきは強い。

 そうした歴史的背景や文化的価値を認めつつも、「日本では『宗教』より『生活』に根付いたもの」ととらえ、個人からの修理依頼も積極的に受け入れる。自宅の窓やドアに飾る作品や家族の思い出の品など8割以上は個人からだ。何軒かの業者に断られた後に虹工房にたどり着く人も多く、「修理出来るとわかってホッとした声を聞くと、より丁寧に直したいと思う」。

 依頼の多くは破損したガラスの修復だ。まず個々のガラスを区切る鉛の枠の接合部を削って取り外す。割れたりヒビが入ったりしたガラスを交換。枠やガラスの錆(さび)や汚れも調整し、修理箇所が目立たないように仕上げていく。

 新たなガラスを選ぶ作業には…

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