寺と市民の架け橋に 京都の法衣店の男性奮闘

田中祐也
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 寺に学習塾を誘致した「令和の寺子屋」、境内を開放し、家のように過ごしてもらう「at Temple」――。法衣店の社員、昌子(しょうじ)久晃(ひさてる)さん(42)は、寺と市民をつなぐ様々なイベントを企画する。

 「寺は古来、人々が集まる場所だった。その価値を見直したい」。大学卒業後、オリックスに入社。営業担当として全国を飛び回った。「もっと自分の裁量で仕事がしたい」と34歳のとき、父親が営む京都市の法衣店に入る。入社してすぐに若者の宗教離れを実感する。ある寺院の行事を手伝ったとき、参加者は高齢者ばかりだった。将来もこの行事が続いていくのだろうかと不安になった。若い世代に向けた仕掛けが必要だと痛感した。

 本業のかたわら、知り合いの寺に依頼して座禅会を開くと住職と参加者の両方から喜ばれた。「令和の寺子屋」は幼少期から寺に親しんでほしいと大手学習塾の「花まる学習会」に依頼して実現させた。今では境内に親子連れの声が響くようになった。取引がある法衣や法具を手がける職人の技術力の高さも広めたい。

 こうした取り組みに力を入れようと、今年9月に独立する。社名は「久柳(くりゅう)」。妻と3人の息子も含めて家族全員に「久」の字がつく。「4人目の子どもと思って、一緒に成長したい」田中祐也