人気ないが競技力は世界レベル 目をつけた実業団チーム

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酒瀬川亮介
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マラソンの名選手が競歩をプッシュ

 オリンピックに出たことがある大学生の選手でさえも就職先探しに苦労する。

 競歩の競技環境は厳しい。マラソンや駅伝と違ってテレビ中継もなく、地味。目にとめない企業がほとんどだからだ。

 そんななか、成績があまりパッとしないまま駅伝を続けてきた実業団の中堅チームが競歩に目をつけた。

 6年前に1人の選手を採用したところから、瞬く間に東京五輪内定選手2人を出すチームに変身していった。

 そのチームは、愛知県東海市にあるトヨタ自動車グループの愛知製鋼。1970年創設と歴史はあるものの、ニューイヤー駅伝など成績は振るわない。

 そんなチームを「8位以内に」と白羽の矢が立ったのが、旭化成時代に2時間7分35秒の日本最高記録(当時)をつくった実績を持つ児玉泰介さんだ。

 ところが、2009年に監督に就任したものの、駅伝の成績はなかなか向上しない。

 そんな折に、チームが所属する中部実業団陸上競技連盟が「長距離だけでなく、短距離や跳躍など一般種目の優秀な選手を採用して欲しい」と加盟実業団にお願いを出した。

 愛知製鋼の藤岡高広社長が連盟会長を務めていたこともあり、児玉監督が「これから五輪や世界選手権で活躍できるのは競歩」と進言。15年4月、東洋大時代に12年ロンドン五輪20キロ競歩代表になった西塔(さいとう)拓己が入社することになった。

 競歩の選手にとって、大学を卒業した後も競技を続けるには、自衛隊、富士通など数社に進路が限られていた。競歩をサポートしてくれる企業を増やしたいと西塔も新しい道を探していた。

 両者の思惑が一致しての入社だった。

名伯楽の下で選手が伸びる

 さらに、西塔が15年秋の全…

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