衆院選に向け準備本腰 コロナ禍に惑う候補者 国会閉会

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神野勇人、小川直樹、吉田耕一
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 通常国会が16日、150日間の会期を終えて閉会した。衆院議員の任期満了まで残り約4カ月。与野党の現職は日常の拠点を地元に移し、新顔とともに衆院選に向けた活動を本格化させる。新型コロナウイルスの影響で思うような準備ができずに焦る姿がある一方、政治への期待が高まるチャンスと捉える声もある。

 16日、衆院本会議場。大島理森議長が通常国会の閉会を告げると、マスク姿の議員は続々と議場を後にした。衆院選に向けて選挙区に戻り、支援者回りなどの活動に入るが、地元に根を張るベテランでさえコロナ禍で経験のない選挙準備に追われている。

 福岡9区の自民現職で当選8回の三原朝彦氏(74)は、緊急事態宣言中だった6月上旬の週末、北九州戸畑区の街頭でマイクを握っていた。ワクチン接種の必要性などを訴えたが、7分近くの街頭演説で足を止める人はいなかった。

 従来の週末は、集会や冠婚葬祭など人が集まる場所に顔を出すのが常だった。コロナ禍で行事や会合は軒並み中止となり、有権者と触れ合う機会は激減した。

 数カ月以内に迫る衆院選に向け、5月の大型連休明けから週末には軽自動車で選挙区内を回り、1日20カ所ほど街頭に立つ。「コロナ下でも『まだ元気にしとるぞ』と姿を見せなきゃだめだ」

 巨大な製鉄所がある9区は、伝統的に労働組合の活動が活発なエリア。立候補を予定する無所属前職の緒方林太郎氏(48)、共産前職の真島省三氏(58)との三つどもえの構図は2014、17年衆院選と同じで、いずれも2人の得票数を足すと三原氏を上回った。

 地元での活動を強める緒方氏らに対し、国会開会中は平日の多くを東京で過ごしてきた三原氏。周辺は「地元での露出度は10倍くらい差がある。コロナ禍で直近1年半はろくに活動できなかった」と認める。

 連休明けからSNSの発信を強めているが、支援者の大半を占める高齢者に届くかは未知数。三原氏は「ひざをつき合わせて意見を聞けないのが一番つらい。街頭演説だけでは地元の要望をつかみにくい」と現職の強みを生かせない現状に危機感を募らせる。

 地盤の弱い野党候補にコロナの風当たりは強い。

 立憲民主現職の松平浩一氏(46)は前回、出身地の金沢市を含む比例北陸信越ブロックで初当選したが、今回は長崎2区にくら替えする。

 島原半島を含む2区は、自民現職の加藤寛治氏(75)が12年から3期連続で当選。対する松平氏は江戸時代に島原藩を治めた深溝(ふこうず)松平家の遠縁にあたるというが、くら替えを決めるまで長崎で暮らした経験はなかった。知名度不足を挽回(ばんかい)しようと、週末の有権者回りに力を入れようとしたがコロナ禍で戦略は狂った。

 長崎でも感染者が確認された昨春から有権者回りは自粛。東京から戻る週末の活動は個人宅などで行う少人数の座談会が中心となったが、感染拡大を恐れて断られるケースも。「知名度の低い候補者にとってコロナ禍は特に手痛い」

 だが、コロナ禍は野党の存在感を示す好機にも映る。「仕事が無くなり困っている」と苦境を訴える声が寄せられ、政権への不満は強まっていると感じる。「政治と有権者の距離が近くなった気がする。それは追い風となる」

 新顔にとってコロナ下の選挙…

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